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日本人が中国語を学ばなければ日中のパワーバランスが崩れる

日本語を真剣に学ぶ中国人の若者を生かせ

2011年9月8日(木)

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 筆者は現在、中国各地方の大学を講義して回るプロジェクトの渦の中にいる。旅の途中で、大学以外に必ず行く場所がある。書店だ。

 書店は社会の縮図。どの国家、社会でも同様であろう。本が並ぶ空間において、どんな本が出版され、売れているかだけでなく、消費者がどのような表情で書店に足を運び、本を手に取っているかにも興味がある。筆者も、中国語で本を書く人間として、読者の動向が気になるところだ。

 残念なことに、中国では書店が普及していない。日本の諸都市では、どこへ行っても「本」の文字が目に入る。駅前は特にそうだ。ところが、中国ではそうではない。『新華書店』という国営書店が市場を独占している。民間の書店がそこに入り込む隙は、現段階ではない。かつての社会主義市場体制を彷彿とさせる。

 『当当網』や中国版アマゾン『卓越網』などネット経由で本を購入する消費者が激増している。複数の出版関係者に確認すると、「売り上げの半分はネット経由ですね」という答が返ってくる。ネット書店がリアルの書店を凌駕する勢いで成長している。

地べたで座り読みをする顧客も

 数日前、北京大学の付近にある大型書店『中関村図書大廈』(新華書店)に足を運んだ。1階は音楽や映画のDVDなどオーディオビジュアルが中心の品ぞろえ。2階、3階、4階が主に本の販売スペースとなっている。ベストセラーや新刊が所狭しと並んでいた。社会が急速に変革していることを象徴するように、各分野の書籍が次々と入荷する。人気がなく、売れない本は瞬く間に淘汰されていく。この光景に、恐ろしさすら感じた。

 いちばん売れていたのが「いかにカネを稼ぐか」を紹介するマニュアル本だった。金融関係者が書いたマネーものや、新鋭起業家の成功物語もよく売れていた。この傾向は近年変わらないようだ。

 週末ということで、店内は人の海であった。立ち読みはいいとしても、地べたに座り込んで、数時間かけて1冊の本を読み込む読者がやけに目についた。店員も注意しない。売る側も買う側も、知的産物を扱う書店という空間の秩序を少しは重んじてほしいものだ。マナーを守ってほしいと心から思う。

語学の本は大人気

 いつもはあまり訪れない「語学コーナー」に足を運んでみた。親子連れが多かった。一人っ子政策の下で、中国の親はほぼ100%“教育ママ”と化している。子供の教育にお金も時間も惜しまない。

 1組の親子に出くわした。中学生だと思われる少年が嫌がるのをものともせず、母親は受験英語の参考書を籠に放り込んでいた。スーパーの食料品で1週間分の食料を買い込むかのように、目は殺気立っていた。

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「日本人が中国語を学ばなければ日中のパワーバランスが崩れる」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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