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日本人が中国語を学ばなければ日中のパワーバランスが崩れる

日本語を真剣に学ぶ中国人の若者を生かせ

2011年9月8日(木)

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 苦笑いして見ていると、その母親が筆者に話しかけてきた。
 「あらあ、加藤さんじゃないの?! こんなところで何してるの? まさか、あなたも語学テキストを買いにきたんじゃないでしょうね?」
 「ニーハオ、おばさん。僕も語学は継続的に勉強していきます。でも、さすがにこういうテキストは使わないですね。書店に来たのは、今何が起きているかを確認するためですよ。あなたみたいに教育熱心な方をウォッチすると、今の中国がよく分かるんです。とても勉強になりました。でも、無理させちゃ、お子さんがもちませんよ。あなたが勉強するわけじゃないんだから」
 「加藤さん、そんなに褒めれちゃ照れるわ。がんばります! じゃあ忙しいんで、またね! 加藤さんもがんばってね!」
 褒めたつもりはなかったのだが、 子供の教育に目を輝かせる母親には何を言っても無駄なのであろう。

 ビジネスと成功物語以外では、何と言っても語学だ。外国語を身につけることは、就職の関門を考えると、今の中国では大きなアドバンテージになる。若者たちは、外国語の勉強を、比較的ローコスト・ハイリターンの行為だと認識しているようだ。『中関村図書大廈』は1フロアの半分くらいのスペースを語学の本に割いていた。受験用テキストからTOEFLなど留学用参考書まで、次々に買われていった。気持ちいいくらいに。

日本語の本は英語の本についで人気

 語学テキストの売れ行きは、第1外国語である英語のものがトップなのは言うまでもない。これに続いて、日本語もかなり売れている。日本語学習熱が高まり、勉強する学生が日増しに増えているのを実感する。日本国民として、うれしくなる。

 各言語の書籍に割かれている棚数で、主要言語の人気度を比較してみた。

 ロシア語3棚、韓国語3棚、スペイン語1棚、ドイツ語6棚、フランス語5棚、日本語12棚、英語100棚という具合。加えて、外国人が中国語を学習する際に使用する「対外漢語」に関する書籍が15棚を占めていた。

 英語以外の主要言語の中で、日本語の存在が抜きん出ていることは明白だ。辞書や文化を紹介する補助的テキストも売られていた。

 書店の語学コーナー担当の販売員に現状を聞いてみた。

加藤:主要外国語の中で、日本語の書籍数が圧倒的に多いですね。日本語関連の本がそれだけ多く出版されているということでしょうか?
販売員:おっしゃるとおりです。日本関連の書籍は、文法・読解などを扱う語学一般から、試験対策問題集、日本の社会・文化を紹介するものまで幅広く入荷しています。英語以外では日本語がいちばん多いですよ。フランス語やドイツ語、韓国語を大きく引き離しています。
加藤:販売の現状はいかがですか? よく売れていますか?
販売員:ご覧の通りです。連日、多くのお客様が日本語コーナーに立ち寄ってくださいます。販売も好調ですよ。ここ数年、日本語学習者が確実に増えているのを、ここで働いていると実感します。

 女性販売員は20代で若かったが、受け答えはしっかりしていた。社会主義の産物である国営機関で働いている割には、サービス精神に富んでいた。筆者が北京で8年間暮らしてきたなかで、最もマナーのよい書店職員だった。

日中の相互依存が日本語の普及を後押し

 しばらくウォッチしてみた。ほかの外国語に比べて、日本語コーナーには、明らかに多くのお客さんがやってきた。数十冊の参考書を一気に買い込んでいるお客さんもいた。キャッシュで会計を済ましていく。

コメント14件コメント/レビュー

おっしゃるとおりですね。言うまでもなくその国の文化を理解するための大切なツールです。しかも最近は中国のニュース、その中でもweiboの存在が大きくなってきています。それらを見ずして今の中国を語ることはできないはず。▼一方今後も中国の日本語学習者が増えると日本から来た駐在員はますます日本語の世界に閉じこもり、数年現地にいたとしても何も理解しないまま帰ってゆきます。こういう小さな所のバランスも大切だと思う。(2011/09/09)

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「日本人が中国語を学ばなければ日中のパワーバランスが崩れる」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

おっしゃるとおりですね。言うまでもなくその国の文化を理解するための大切なツールです。しかも最近は中国のニュース、その中でもweiboの存在が大きくなってきています。それらを見ずして今の中国を語ることはできないはず。▼一方今後も中国の日本語学習者が増えると日本から来た駐在員はますます日本語の世界に閉じこもり、数年現地にいたとしても何も理解しないまま帰ってゆきます。こういう小さな所のバランスも大切だと思う。(2011/09/09)

中国人の多くが日本語を真剣に勉強するのは、それが直接的に自分の利益に繋がるからなのでしょう。ならばどうしたらこれからの子供たちにも、日本語を通じて利益を提供し続けられるのかを考えたほうが、建設的ではないでしょうか。時間が無限にあるなら、相手が勉強してくれるからこちらも、というのもありでしょうが、限りある時間なのですからわざわざ相手の土俵に降りていくことはないと思います。(2011/09/08)

▼ビジネス相手の母語を習得している方が有利だというのは、常識的に考えてもそのとおりで異論のないところです。政治や安全保障の面でも同様でしょう。現在の中国自体はビジネスパートナーとしてあまり好ましい相手ではないようにも思いますが、中華系が経済の枢要を担っている国も結構多いので、いわゆる中国語の出番は多そうです。しかし、北京語が通じるとは限らないのがネック。一説には、西ヨーロッパの各言語の違いを1とすると、北京語、閩語、粤語(広東語)、客家語など各言語の違いは10ぐらいとも言われ、別の言語だと思った方がよいとすら聴きます。漢字のお陰で文字ならなんとか通じるらしいですが。▼日本語書籍の普及は、日本との商売以外にも実利があるようです。理工系は今一歩英語には及ばないようですが、人文系についてはかなりマイナーな言語のものを含め膨大な翻訳書の蓄積があり、小説などは新刊もどんどん出版されています。日本語をマスターするとそれらの資源を活用できます。そういう意味で、日本人が思っている以上に日本語もかなりパワーがある言語のようですよ。(2011/09/08)

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三品 和広 神戸大学教授