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アフリカで小学校寄贈、北京では農民工の学校を強制閉鎖

聞いてあきれる「貧困児童就学援助プロジェクト」

2011年9月9日(金)

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 2011年8月、中国では“世界傑出華商協会”、“全球華商未来領袖倶楽部(全世界華商未来リーダークラブ)”、“中国青少年発展基金会”が発起した“中非希望工程(中国対アフリカ希望プロジェクト)”に関する話題がインターネット上で沸騰した。

 中国で“希望工程”と言えば、「貧困児童就学援助プロジェクト」を指し、募金によって貧困地域の学童教育を支援する事業を意味し、この事業を通じて建てられた小学校は「希望小学校」と呼ばれる。これをアフリカで展開しようというのが“中非希望工程“であり、今後10年以内に総額20億元(約250億円)を投じてアフリカの各国で1000校の希望小学校を建設して寄贈するというものである。

 その一大プロジェクトである“中非希望工程”の“執行主席”兼“秘書長”が24歳の“盧星宇”という24歳の女性であることが判明した。彼女が中国版ツイッター“微博”に実名と肩書を登録したのである。盧星宇の肩書は「全世界華商未来リーダークラブ」の秘書長、“中非希望工程”の執行主席兼秘書長となっていた。これを見つけて驚いた人がツイッターにその発見を書き込んだことから盧星宇は一躍時の人となったのだった。

 その後にネットユーザーたちによって行われた調査を経て、盧星宇は四川省出身の大富豪である“盧俊卿”の娘であり、中国でとかく話題となる“富二代(富豪の二代目)”であることも判明したのである。父親の盧俊卿は“天九儒商投資集団”の主席で、“世界傑出華商協会”の主席でもあり、元々は四川省広元市の共産党弁公室に勤務していたが、1995年に実業の世界に入った人物。彼が大富豪になった経緯は明らかでなく、彼の経営する天九儒商投資集団も何をやっているのか不明点が多い。そうした人物が関わる中非希望工程も寄付金を募ってカネを儲ける詐欺まがいの慈善事業なのではないのかといった疑惑も提起され、大きな騒動に発展しているのである。

義務教育の学生の42%が北京の戸籍を持たず

 アフリカに小学校を建設するという慈善活動がある一方、中国国内では未だに希望工程を通じて多数の希望小学校が建設されている。そればかりか、北京市では公立学校に通えない出稼ぎ者の子女のための学校が閉鎖され、学生たちが学ぶべき学校を失う事態となり、深刻な問題となっている。この学校閉鎖とはどのような事態なのか、その経緯と背景を追ってみた。

 中国の国家統計局が2010年3月に発表した『2009年農民工監測調査報告』<注1>によれば、“外出農民工(故郷を離れてよその土地へ働きに出た出稼ぎ農民)”の総数は推定で前年比492万人増の1億4533万人であった。2010年に実施された日本の国勢調査による福岡県の人口が507万人であるから、1年間でほぼこれに相当する数の外出農民工が増えたことになる。地方の都市化が進むにつれて外出農民工の数は今後さらに増大するものと思われる。

 ところで、その“外出農民工”の内訳は、居住地に家族を残している者が前年比385万人増の1億1567万人、一家を挙げて居住地を離れた者が前年比107万人増の2966万人であった。後者は家族を帯同しているから、家族を妻と子供1人の2人と仮定しても、本人を含めた総数は約9000万人となり、子供だけでもその総数は約3000万人となる。

<注1>“農民工”とは「出稼ぎ農民」指し、居住地の地元企業で働く農村戸籍者を意味する“本地農民工”と居住地を離れてよその土地で働く農村戸籍者を意味する“外出農民工”の総称。

 週刊誌『三聯生活週刊』の8月29日号によれば、2010年時点における都市で義務教育を受けている農民工の子女の総数は全国で1167万人であり、流動人口が集中する大都市ではその規模は驚くべきものとなっている。例えば2010年時点で、北京市では義務教育課程の学生総数の42%を占める43.3万人が北京市の戸籍を持っていなかった。これと同様に、上海市でも義務教育課程の学生総数の42%前後を占める47万人が上海市の戸籍を持っていなかった。

コメント7件コメント/レビュー

教育の大切さ、と力んでみても…。どこから手をつければいいのか途方に暮れてしまいますね。一握りの権力者と圧倒的多数の耐える人々の構図。これが変われば人類は一段階成長したことになるんでしょうね。(2011/09/12)

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「アフリカで小学校寄贈、北京では農民工の学校を強制閉鎖」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

教育の大切さ、と力んでみても…。どこから手をつければいいのか途方に暮れてしまいますね。一握りの権力者と圧倒的多数の耐える人々の構図。これが変われば人類は一段階成長したことになるんでしょうね。(2011/09/12)

>聞いてあきれる「貧困児童就学援助プロジェクト」なるサブタイトルの意味が分かりません。従来自国で展開していた事業をアフリカでも展開しようとしているんですよね?それ以上のことが書かれていませんので「あきれる」理由が分かりませんの。集めた基金を我がモノにして僅かな希望小学校しか作っていないとか、北京の子弟学校を潰しているのが希望工程とかなら分かりますが・・・しかし共産党が統治していて義務教育に全入でないというのも不思議な話です。(2011/09/12)

日本が移民をもし受け入れたら北京のようになるのですかね? 果たして役人は中国大都市の例を参考に移民政策を考えられるのか?(2011/09/09)

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三品 和広 神戸大学教授