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外国人労働者による「問題」をどう回避したか

単純労働者を受け入れた韓国の制度とその影響(1)

2011年9月20日(火)

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 労働分野において日韓で大きく異なる点が、外国人労働力の受け入れ方です。2回のシリーズで、韓国の外国人労働者受け入れ制度を取り上げます。今回は韓国の制度の特徴、次回は制度がもたらした肯定的あるいは否定的な影響について見ていきます。

 日本では専門的・技術的分野で働くことのできる人のみ、就労目的での在留が認められます。すなわち、「高度な専門的職業」、「大卒ホワイトカラー、技術者」、「外国人特有または特殊な能力等を活かした職業」に就ける能力のある外国人の就労が認められており、具体的には、技術者、語学教師、大学教授、外資系企業の管理者、弁護士、会計士、医師などが挙げられます(※1)。単純労働に従事する外国人は受け入れられていません(※2)

 一方で、韓国では2004年8月から雇用許可制を施行して単純労働に従事する外国人(以下「外国人労働者」)の受け入れが始まりました。

 日本においては外国人労働者の受け入れについては様々な懸念がされています。2004年の世論調査の結果(※3)を見ると、外国人労働者の受け入れを認めない理由として、治安の悪化、地域社会におけるトラブル、不況期における日本人の失業増加が上位を占めています。しかし韓国の雇用許可制は、これらの問題ができるだけ生じないようにする仕組みが備えられています。

 以下では雇用許可制について、こういった問題が発生するのを抑える仕組みを中心に解説していきます。その前に雇用許可制が導入された経緯、雇用許可制に関する用語、雇用許可制に関する組織の説明をしておきます。

2004年の雇用許可制で仕組みを整備

 雇用許可制が導入される前は産業研修制度がありました。これは1993年から始まった制度で、現在日本で行われている研修・技能実習制度に類似した制度でした。しかし研修生の受け入れは民間機関が行っており、仲介業者が中間でリベートを取るなど問題が発生していました。

 また雇用先では、適正な待遇がなされず、賃金の不払い、暴力といった人権問題が生じました。産業研修生の制度が発足して10年経つ頃には問題意識が高まり、外国人を労働者として待遇するための制度の導入が政府主導で議論され、2004年に雇用許可制が発足しました。

 雇用許可制で受け入れる外国人労働者は一般と特例に大きく2種類に分けられます。まず特例外国人労働者は、中国、旧ソ連地域7カ国(ロシア、ウズベキスタン、カザフスタン、ウクライナ、キルギスタン、カザフスタン、タジキスタン)の国籍を持つ同胞です。ここで言う同胞とは、原則として元々韓国の国籍を持っていた、あるいは両親か祖父母が韓国国籍を持っていた者のことです(ビザの種類はH-2)。一般外国人労働者とは、この他の外国人労働者を指します(同E-9)。

 組織としては、雇用許可制では外国人労働政策委員会が重要です。外国人労働政策委員会は国務総理に所属しており、委員長である国務総理室長、企画財政部、外交通商部、法務部、雇用労働部の各次官などで構成されます。また委員会の下には、雇用労働部次官が委員長となり、労働者側代表、使用者側代表、学識経験者、関連する政府機関の局長級の公務員で構成される外国人労働者政策実務委員会が置かれています。雇用許可制に関する重要な事項は、外国人労働者政策実務委員会で原案が作成され、外国人労働政策委員会で決定されます。

※1 日本の外国人労働者の受け入れに関する記述は厚生労働省のウェブサイトを参考とした。
※2 ただし定住者(主に日系人)、永住者、日本人の配偶者など身分に基づき在留する外国人は、単純労働を含めた様々な分野に制限なく従事できる。また外国人留学生も、本来の在留資格を阻害しない程度であれば単純労働が可能である。また技能実習生も単純労働に就くことができる。
※3 「外国人労働者の受入れに関する世論調査」(内閣府政府広報室)

コメント4件コメント/レビュー

物事を比較する場合は、見やすく、わかり易い記述が望まれる。文章と統計資料の内容によっては、筆者の意向に沿った方向へ、読者が誘導されていく恐れがある。(2011/09/20)

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「外国人労働者による「問題」をどう回避したか」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

物事を比較する場合は、見やすく、わかり易い記述が望まれる。文章と統計資料の内容によっては、筆者の意向に沿った方向へ、読者が誘導されていく恐れがある。(2011/09/20)

韓国は、日本がその情報を知らない(公開されない)間に諸分野で日本を上回る工夫・改善・改革を実行し、多分野で日本を凌駕する水準になっている。外国人受け入れにおいても日本にも大いに参考になると思います。次のその長短の分析・紹介記事も期待します。(2011/09/20)

私がリーマン崩壊やそれに続く不景気の連鎖で学んだことは、「短期的に無茶なことをすれば、一時的に大変よく見える状況を作り出すことができるが、後々の負債支払いは膨大なものになる」ということだ。韓国についても同様なことが言える。韓国が日本に脅威!サムスン万歳!のような記事がはやりだしたのはここ数年であり、まずその状況で「最低10年」乗り切れるかどうかを見てからにしたほうがいい。あの米国ですら、移民に関する問題が過大になってきている状況から考えても、10年それでうまくいくかを見てから動きを決めても遅くない。(2011/09/20)

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