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内政も経済も漸進主義を貫く~ただし韜光養晦は続くか?

2012年の中国を展望する(後編)

2011年9月22日(木)

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 2回にわたって「2012年の中国を展望する」をお送りしている。今回は後編だに当たる。前編では、指導者が代わる政治のこれから、共産党の正当性を保証する支柱となっている経済の話をさせていただいた。

 共産党も集団指導体制になり、次期リーダーと言われる習近平氏の力だけで政治が動くのではないこと、経済の良し悪しを判断する国民の基準が変わってきていること、などを取り上げた。人事にも少しだけ言及した。

 前回コラムの最後で、習近平氏が「中国の経済政策はハードランニングしない」と公けに発言したと紹介した。あくまでも「漸進改革」、つまり崩壊のリスクを回避するためにゆっくりとソフトランディングさせる方法を取るという党の意思を反映している。

 胡錦濤・現国家主席をはじめとする、中国の政治家たちとおつき合いさせていただいている。「ハードランニングはさせない。あくまでもソフトランディング」というのが、首脳部たちが脳裏に描いている基本方針である。経済だけでなく、政治もソフトランディングさせたいのだ。

 どういうことか? 2つの論点を取り上げてみたい。

中国が欧米型民主主義を導入することは当面ない

 アラブ・中東で「ジャスミン革命」が起こった際、「次は中国に違いない」という見方が起こった。少なくとも、インターネットを通じて「権力に対抗し、民主化を追求する流れが中国にも波及するに違いない」という観測が国際的に話題になった。欧米や日本の大手メディアもそういう論調で記事を書いていた。国民が国家に対する不満を爆発させ、下から民主化の波を巻き起こすという見方だ。

 筆者は当時「現段階でその可能性は極めて低い」と否定した。実際に、現在までジャスミン革命は中国では起こっていない。

 理由は3つある。第1は、昨今の中国は集団指導体制で統治しており、“一党独裁”ではあるが“一人独裁”ではないこと。第2は、中国経済は基本的には上昇気流で、国民は物質的豊かさを享受していること。もちろん格差や腐敗、社会保障の欠如、物価の高騰など各種ジレンマを抱えているが、これを上回る恩恵がある。第3は、中国では宗教が国家レベルで普及しておらず、「共産党の原理原則」がイデオロギーとして社会全体を覆っていること。現段階では国民がその体系に挑戦する姿勢を取っていない。

 次に、「民主化しないと、社会が不安定化し、中国経済の繁栄は保てない」という見方がある。多くの欧米・日本の学者がこの見方を取る。この見方が正しいかどうかは、ここでは議論しない。

 だが少なくとも言えることは、中国の首脳部が「今このタイミングで急激な民主化に踏み切れば、国内が不安定化し、経済の発展も保証できなくなる」という現状認識を抱いていることだ。筆者が「2012年の中国はどうなるか?」という質問をぶつけたジャーナリスト、社会学者たちもみな、「今、中国国民に、自らのリーダーを自ら選ばせれば、間違いなく能力のないリーダーを選ぶだろう。中国国民は選挙ができるほど成熟していない。時期尚早だ」と語っていた。国民の多くもそう“自覚”している。

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「内政も経済も漸進主義を貫く~ただし韜光養晦は続くか?」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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