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対中ビジネスで成功したければ、「通訳」がカギだ。

契約よりもまずは仲良しになれ! 著者の通訳経験、初公開

2011年9月29日(木)

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 日経ビジネスオンラインには、中国ビジネスに関する連載がいくつかある。筆者のこの連載もそのひとつだ。日本のビジネスパーソンが今、ビジネスの相手として、魅力的な市場として、中国を見つめている証左だろう。

 そんな日本人にとって、中国ビジネスには誰もが知る大きなハードルがある。「中国語」だ。大半の日本人は中国語ができない。ゆえに、中国人との交渉の場には必須の「仕事」がある。
「通訳」である。

 中国ビジネスの現場における「通訳」とは、どんな役割を担っているのだろうか? 
 こちらが話したことを素早く、正確に相手に伝え、先方が話したことを素早く、正確にこちらに訳してくれればいい。基本はそんなところだろう。
 でも、はたしてそれだけでいいのだろうか?

 実は筆者は、「通訳」の経験がある。今もしばしばある。筆者を介して大きなビジネスが、重要な交渉が、目の前で成就した瞬間を何度も目撃している。
 筆者はもちろん「通訳」のプロではない。専門教育を受けたわけでもない。ただし、中国人とコミュニケーションをとる、ということについてはそれなりの場数を踏んでいる。
 その経験から、今日は中国ビジネスの現場における「通訳」のあり方について、筆者の個人的な経験に基づいた意見を記すことにする。

北京大学2年生に、いきなりビジネス通訳を頼んできた日本企業

 2004年5月。日本の高校を卒業し、単身北京に来て、1年が経った。20歳になり、北京大学での留学生活にもだいぶ慣れた。
 ゼロから始めた中国語に関しても、日常生活レベルを超えて、中国の大学生たちと日中関係や中国政治を議論できるくらいまで上達していた。

 ちょうどそのころである。日本の知人から一通のメールが入った。スポーツやエンタテインメント分野で中国ビジネスのコンサルティングをやっている男だ。
「加藤くん、2日後に日本のスポーツメーカーのお偉いさんが北京入りして、中国のカウンターパートとでっかい契約を結ぶための戦略会議をやるんだけど、そこに通訳として入ってもらえるかなあ?」

 通訳か――。メールを見ながら、戸惑っている自分に驚いていた。
 実はこのころ、翻訳の仕事を毎日のようにこなしていた。
 生計をたてるため、たった半年の中国暮らしで習得した中国語の技術を、さっさとカネに変えていたのだ。日本で中国に対する情報ニーズがどんどん高くなっている時期だった。さまざまな知り合いを通じて、中国語文書の日本語訳の仕事が次々と舞い込んだ。
 言語習得は、習うより慣れろ、である。「翻訳」だったら、なんとかなる、といっぱしに思っていた。

 そんな筆者をして、「通訳」に対して躊躇を覚えたのは、文書を翻訳するのと、目の前でしゃべっている内容を通訳するのでは、根本的に求められる技術の水準がケタ違いに異なるが直感的にわかったからである。

 それでも昔から、道が2つあったら、難しい方を選ぶ「たち」だ。
 筆者は、メールにこう返信した。
「時間は空けられます。通訳は初めてなんですが、気合で何とかなりますかね?」
 どうやら先方は、人選に苦しんでいて、後がなかったようだ。すぐに返信があった。
「うん。加藤くんなら大丈夫だよ。同席する関係者は皆スポーツ関係の人たちだ。体育会系出身の君にとっては古巣じゃないか。持ち前の体力と気合で頼むよ」
 かくして人生はじめての通訳仕事を、「体力」と「気力」でこなすことに相成ったわけである。

中国の役人を落としたければ、「契約」よりも「仲良くなる」こと

 それから2日後。
 いよいよ初めての通訳。当日まで打ち合わせはなし。何をどう訳すかもぶっつけ本番。そもそも人生にリハーサルなんてない。だったら仕事も同じだ。そう腹を決めた。
 午前中、北京で日本から出張してきた3人と会った。スポーツブランドを扱っている会社で、キーマン的存在である幹部社員たちだ。
 1人が口を開いた。
「今回の出張の目標は、今後弊社の商品を中国国内で広範に売っていくために、まずは政府内部、ナショナルチームで使ってもらえるように明確に認知してもらうこと。そのための関係と契約を結ぶことです。」 

 なるほど。となれば、目標は明確だ。
 まず中国の役人を説得し、「仲良くなる」こと。お互いに握手を交わし、忌憚なく話し合えるような「信頼関係を築くこと」だ。筆者が半年間中国人と付き合ってきた感覚から、「契約は二の次」だと直感で判断した。

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「対中ビジネスで成功したければ、「通訳」がカギだ。」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長