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外国人労働者受け入れは副作用の小さい良薬となった

単純労働者を受け入れた韓国の制度とその影響(2)

2011年10月3日(月)

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 日本では外国人労働者受け入れに反対する人の多くが、景気後退期における日本人の失業増加や治安の悪化を挙げています(※1)前回述べたように、韓国では雇用許可制により外国人労働者を受け入れていますが、これら問題が生じないように制度が設計されています。

 今回は、雇用許可制が導入されてから7年経った現在、韓国で問題が発生しているのかどうかを見ていきます。また外国人労働者の導入に踏み切った理由として、特定の業種における労働力不足が挙げられますが、この問題が解消されたかどうかも考えます。

景気後退期の失業率の急上昇はなかった

 まずは不況期において韓国人の失業が増加したかについてです。前回説明したように外国人労働者の受け入れ制度は、韓国人労働者との競合を避けるため、業種ごとに労働力不足数を推計してクォータを設定した上で、韓国人を3カ間求人したにもかかわらず求職がなかった事業所のみが外国人を雇うことができるよう設計されています。よって制度がうまく機能していれば、外国人労働者が流入しても韓国人の雇用に与える影響は出ないはずです。

 雇用許可制の導入以降の景気後退期、それ以前と比較して失業率が高まったのか見てみます。韓国は2008年9月のリーマンショックを契機とした世界的な金融危機により景気後退が深刻化しました(※2)。2008年10~12月期の成長率は年率換算で-17.3%を記録し、1997年末の通貨危機直後である1998年1~3月期の-25.1%に迫る大幅なマイナスとなりました。

 もちろんこのマイナスは瞬間的な数値ですが、2008年の成長率は2.3%、2009年は0.3%にとどまるなど、潜在成長率が4~5%程度であることを考慮すると、この時期の韓国経済は深刻な景気後退に直面していたと考えられます。この景気後退によって失業率はどのように変化したのかを見ると、2009年10月に3.5%であった失業率(季節調整済)は、2010年1月に4.8%にまで高まりました(図1)。

 しかしこれは一時的なもので同年3月には再び3%台に戻りました。そして年平均でみると、2009年は3.6%、2010年は3.7%であり、制度導入前における景気後退期の真っただ中にあった2003年の3.6%とほぼ同じ水準です。つまり外国人労働者を受け入れたため、受け入れ前と比べて景気後退期に失業率が急上昇することはありませんでした。

賃金や労働条件の低下という影響はあった

 失業率で見る限り、外国人労働者の受け入れによって、景気後退期に労働市場がより悪化したとは言えません。ただし全く影響がなかったかというと、そうでもなさそうです。雇用許可制が導入されてから7年経ち、外国人労働者の流入が韓国人の雇用に与える影響について分析した研究が増えていますが、多くは何らかの影響があったという結論を出しています。

※1 内閣府政府広報室「外国人労働者受け入れに関する世論調査」(2004年実施)。
※2 景気後退は2008年1月から始まっていた。

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「外国人労働者受け入れは副作用の小さい良薬となった」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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