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下水から作った再生食用油が、国家規格の安全検査にパスした

違法な生産ネットワーク摘発は進むが、鑑別方法はなし

2011年10月7日(金)

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 2011年8月19日付の広州紙「南方都市報」は、広州市政治協商委員会が開催した世情情報提供活動において、市政府が派遣した180名からなる部門責任者および担当者に対して市政治協商委員の宋川が次のように述べたと報じた:

 自分の運転手は以前ファストフード店で働いていたが、その運転手によれば、彼が働いていた店の店主は50キログラムで価格がたった1元(約12円)という安価な食用油を使っていたという。このため、この食用油を使った料理は店主を含めて店の人間は誰も食べなかったそうだ。従い、レストランが使う油には注意が肝要であり、自分は車にいつも食用油のボトルを2本載せてあり、レストランで料理を注文する際に自分の食用油を渡して、その油で調理してもらうようにしている。

女性の手荷物に食用油の小瓶

 8月21日付の「人民ネット」はこの「南方都市報」の記事を引用して、宋川委員は「食用油を持参してレストランに行く」最初の人ではなく、レストランの使う油が心配だという理由で食用油をレストランに持参する広東省のホワイトカラーが増大しているというニュースは数年前にもあったと報じた。

 さらに加えて、広東省珠海市食品薬品監督局の陳昌亮局長が、「不衛生な食用油が市場に氾濫するというみっともない現象は当面なくならない。自分も外のレストランで食事をするのが怖い。自分も順徳薬品監督局に勤務していた時は、局内に食堂がなかったので、毎日昼食は数人の同僚と決まったレストランで食べ、食用油をそのレストランに預けて、コックにはその油を使って調理してもらっていた」と述べたと報じた。

 こうした報道を裏付けるかのように、9月22日付の広州紙「羊城晩報」は、9月21日に広州市の白雲空港から重慶行きのフライトに乗ろうとしていた女性が手荷物のカバンに食用油の小瓶を入れていて摘発されたと報じた。女性は業務出張で重慶に1カ月程度滞在する予定だが、外食の食用油が心配で、100cc以下なら問題ないと考えて自炊用の食用油を小瓶に入れて持参しようとしたもので、食用油の小瓶は航空会社に託送してもらうこととなった。白雲空港では同日に陝西省西安へ向かう女性、湖北省武漢へ向かう女性も食用油を手荷物に入れていたのが摘発され、同様に航空会社による託送で解決したという。

 旅行先にまで食用油を持参するとは尋常ではないが、中国の人々がレストランなど外食の食用油が不衛生だと心配しているのはなぜか。その理由は“地溝油”である。“地溝油”とは「調理場から排出された食用油が下水溝にたまった物」を意味する。これを下水溝から回収して精製・加工することにより再生して「油」や「ラード」を生産し、それを食用として販売する悪徳業者が多数存在するのだ。この下水溝から作られる「再生食用油」が市場に氾濫して、中国社会に混乱を巻き起こしている。それは、「再生食用油」にはその毒性がヒ素の100倍にも及ぶと言われる発がん性物質「アフラトキシン」をはじめとする危険な物質が大量に含まれているからである。

年間消費量の20%が再生油

 筆者は本リポートの2006年12月15日付『え!中国では下水溝から食用油が作られる?』および2010年3月30日付『下水から作る「再生食用油」を根絶せよ!』でこの“地溝油”問題を取り上げて、中国社会に潜む闇の部分を紹介してきたが、問題は一向に解決しないばかりか、ますます深刻な状況に陥っているようである。

 2011年9月15日付の武漢紙「長江日報」によれば、油脂加工の専門家である“華農食品科技学院”の王承明教授は“地溝油”から作られた再生食用油の規模について次のように述べている:

コメント8

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「下水から作った再生食用油が、国家規格の安全検査にパスした」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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