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中国企業との交渉に必要な5つの人材像

戦略、明るい雰囲気、酒…

2011年10月13日(木)

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 前回コラムでは、中国ビジネスの現場に欠かせない「酒」について筆者の苦い思い出を紹介し、読者の皆さんと共有したいポイントを8カ条としてまとめさせていただいた。

 その後、少なくない読者から直接連絡があり、「加藤さん、今度北京に行きます。そのときはぜひ、白酒で練習につき合ってくれませんか?」という相談を受けた。光栄なことである。ぜひ皆さんと共に様々な「現場」を体験していきたいと思っている。

 さて、今回は「交渉のための布陣」である。中国ビジネスの交渉の現場に、どのような人的布陣で挑むべきかというテーマを考えたい。

面会は11時前、14時後が望ましい

 まずはいつものように、筆者の体験談をお聞きいただきたい。

 約2年前のこと。ある健康食品メーカーから「自社商品を中国市場でも展開していきたい」という相談を受けた。「国内市場が萎縮している。海外市場、特に中国に打って出るしかない」(同社中堅幹部)ということだった。筆者はちょうど中国都市部の富裕層の台頭、特に彼ら・彼女らが健康や衛生といった新しい分野に前代未聞の関心を寄せる新しい現象に注目していたから、快くお受けした。

 「それではまず中国側の同業者と会って、合同でビジネスができないか話を持ちかけてみましょう」という提案をし、場のセッティングに取り掛かった。

 日本企業からは海外事業部担当の中堅クラスの幹部、そして彼の部下2人が北京までやって来た。翌日14時から初の面会、その後に食事という予定を組んだ。筆者は大体このように予定を組む。中国人は昼休みを大切にし、なかには昼食後に簡単な睡眠を取る人も少なくない。よって面会のアポは11時前、14時以降が望ましいからだ。夜は「酒」が入ったほうが、双方が本音を語りやすく、信頼関係を築きやすい。

 日本企業には、会社や商品に関するパワーポイントの資料を中国語で作成してもらい、筆者が中国側に事前に渡した。中国企業は政府の支援を受ける国営企業であった。資料に対する最初の反応は「興味はある。ただ実際に会って話してみないと、日本側がどれくらいのビジネスを考えているのか判断しかねる」という感じであった。

中国人は電子メールよりインスタントメッセージを好む

 余談だが、中国の方々とつき合う際、電話や電子メールでは限界がある。やはり定期的に会って、相手の目を見ながら本音で語り合うのが王道だ。中国というと、すべてが階級で成り立っているようなお堅いイメージを受けるが、それは必ずしも正しくない。物事を進めるためには、肩書きや社交辞令よりも、むしろ個人的に信頼関係を築く必要がある。プライベートで「良き友人」になって初めて、仕事という公の舞台でも突破口が開ける。

 筆者からは、日本人は内向的に見える。電子メールで、相手の顔は見ずに、休止符を打ちながら、阿吽の呼吸でコミュニケーションを取ることを好むようだ。もちろん、最初の面会や、交渉を果実にする際の面談は欠かせないけれども。

 一方中国は、間が空いてしまうメールよりも、インスタントメッセンジャーやMSNメッセンジャーのように、短い間隔でテンポ良くキャッチボールができるツールを好むようだ。現在は、中国の騰訊公司(テンセント)が無償で提供・運営している「QQ」が高い人気を得ている。ビジネスパーソンや記者たちの多くが利用している。

 総括すると、中国人とビジネスをする際、効果のある順に「面会>電話>QQあるいはMSNメッセンジャー>Eメール」である。ちなみに中国人は、パソコンメールよりも携帯電話メールに対してより親近感を持つようだ。筆者がつき合っている高級官僚や企業のトップも携帯メールで気軽にやり取りをしてくれる。

「ニーハオ」の一つもない日本企業

 話を本題に戻そう。
 翌日に面会を控え、筆者は日本から来た3人と会い簡単な打ち合わせをした。「事前にお送りした資料をより明確に、詳細に紹介して相手の興味を引き出したい。良いお土産を日本に持って帰りたい」とのことであった。

 3人とも、冗談が通じない融通が利かないタイプで、中国側と率直な議論ができるかどうか、内心不安であった。「資料の棒読みは駄目です。インパクトのあるストーリーや企画を存分に持ち出し、柔軟に対応してください」とだけ忠告した。通訳として、できる限り場を和ませようと筆者は決心した。

 交渉が始まった。
 場所は中国企業のオフィスの会議室。同社ナンバー2の副総経理と国際協力部長、その部下2人が出てきた。かなりの布陣である。「通訳は私に任せてください」と事前に話してあったので、中国側は通訳を用意していなかった。

 日本側は率先して名刺を差し出したが、案の定、ただ交換するだけで、「ニーハオ」の一つもなかった。まったく気遣いがない。誠意にも欠ける。これでは中国側にインパクトは与えられない。「お会いできてとてもうれしいです。私は中国料理や三国志の大ファンなんですよ」くらいの中国語は事前に準備してきてほしかった。そういう細かい気遣いだけで、中国側の受け止め方はだいぶ異なってくる。

 出だしは最悪。

 中国側も「日本の皆さんを歓迎します」と社交辞令で対応するだけだった。日本側はプリントアウトしたカラー版資料を中国側に差し出し、ほぼ棒読みで内容を紹介していった。

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「中国企業との交渉に必要な5つの人材像」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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