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英語で交渉することで尊敬を勝ち取る

中国人の“欧米崇拝”を逆手に取る

2011年10月27日(木)

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 前回コラムでは、中国ビジネス交渉の現場(特にアルコールが入る宴会の席)に挑む際、「それなりに中国語ができて、意思疎通が可能であれば、通訳を介するのではなく、中国語で挑むべきだ。そうすることで、初めて相手の本音が引き出せる」という筆者の意見を、体験談を交えて読者のみなさんと共有させていただいた。

 「中国ビジネス交渉のための語学」ということで、これまで、通訳を介する方法、中国語で直接やり取りをする方法の二つを取り上げてきた。どちらで挑むかは状況次第だ。今回はプラスアルファーとして、もう一つの方法を模索してみたい。英語である。

 「えっ!なんで中国人と英語で話すの?!」

 反射的にこう思われる方が、少なくないかもしれない。もちろん、13億人すべての中国人が英語で話せるわけではない。地方や内陸部、農村など奥地に乗り込めば、カタコトの英語すら伝わらないケースも珍しくない。前回議論した中国生まれの「普通語」すらままならない国民が少なくないわけだから、外国発の英語などもってのほか、という場所がたくさんある。

 しかし、それでも、場合によっては英語で会話することが、ビジネスを有利に進めることにつながる。

朝5時から英語の音読をする声が聞こえる

 「中国人って英語うまいよな」

 こうお感じになったことのある方、おられないだろうか。筆者はいつもそう感じる。大学に進学し、社会人になる人間は一通り英語をマスターしている。中国の大学には、「4級」「6級」と呼ばれる大学生のための英語試験がある。これに合格しないと卒業できない、という国家規定がある。内容的には受験英語の延長だが、特に「6級」はかなり難易度が高く、簡単には突破できない。

 「受験英語のレベルで満足してはだめだ。一定の英語力を身に着けていない者は大学を卒業させない」というこのルールを、日本の大学でも適用したらどうだろうか。インターンシップを単位の一部に組み込むように、英語力も扱えばいいのである。既存の仕組みがなければ、TOEFLやTOEICを活用すればいい。「○○点以上で初めて単位獲得。ただし、XXXの場合を除く」と。

 XXXとしたのは、常に例外を排除しないためだ。例えば、ある学生はどうしても英語ができない。しかし、幼いころドイツに住んだ経験があり、ドイツ語はネイティブレベル――という場合は彼に特別な待遇を与えるべきだと筆者は考える。「学生が社会に出ても一人前にやっていくための武器としての教養を育成する」という大学教育の大義に適合するからである。

 話を戻そう。「4級」「6級」だけでなく、中国の大学生は欧米に留学するためのTOEFL、GRE、GMAT、IELTSなどの英語能力試験を本当に積極的に受けている。大学1年生から4年生、大学院生まで、教室にはいつも英語の教材や書籍が転がっている。みな英語に飢えているのだ。「英語をマスターすることが、成功へのパスポート」だという明確な意識を持っているからだ。

 午前5時。北京大学。筆者がいつものようにキャンパス内を走っていると、至る所で英語を音読する声が聞こえてくる。イヤホンを耳に、教材を両手で掲げ、発音や読解のトレーニングをしているのだ。中国の大学は基本的に全寮制で、4人1部屋という場合が一般的である。朝5時だと、寝ている学生も少なくない。ルームメートに迷惑がかかるから外へ出ていく。午後11時には消灯になってしまうから、速攻で寝て、翌日の朝に備える。英語に飢えながら、日の出を待つのである。

 これは決して北京大学に特有の光景ではない。本年度、筆者は全国各地のいろんなレベルの大学を講義して回っている。すべての大学で同様の光景が見られた。地方の中級レベルの大学では北京の一流大学よりも顕著であった。筆者も相当な刺激を受けている。彼ら・彼女らに負けじと、中国やアメリカの新聞を片手に、ランニングをしながら音読するようにしている。中国語・英語と同時に肺活量も鍛えられる。

 こういう学生たちが社会へ出ていく。レベルは様々だが、若者はみな英語に対してコンプレックスがなく、常に英語が話したくてたまらない。欧米の外資系企業に就職する若者は言うまでもない。それに加えて、政府機関、国営企業、中国民間企業でも、英語を使える人材が確実に、かつ急速に育っている。

 日本語の能力が買われて日本企業に就職する学生も、英語に堪能な人が少なくない。みな英語試験を経て大学を卒業している。そもそも第二外国語に熱心に取り組んだ学生は、英語にも親近感を持ち、両立させる性格を持つ。

「中国語でビジネスをしているようでは駄目だ」

 筆者が読者のみなさんと議論したいポイントは、「中国人とのビジネス交渉に英語を用いることのメリット」である。外国企業とビジネスをしようとする中国人がそもそも英語に堪能で、英語を話したくてたまらないというハングリー精神を持っている背後には、今を生きる中国人が持つ「欧米崇拝」が存在する。

コメント4件コメント/レビュー

とりあえず中国語で飯を食っているので、英語より中国語のほうができるとは思いますが、自分自身中国では初対面の人には英語で話しかけ、本音を引き出すモードになると中国語に切り替えます。その際、「グローバルな時代だから英語で話そうと思ったけど、やっぱりアジア人ですから中国語が楽ですよ、無理しすぎたかな」とかいうと、必ず場が和むと同時に英語を話すアジア人同士の親近感を持つようになるのです。(2011/10/30)

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「英語で交渉することで尊敬を勝ち取る」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

とりあえず中国語で飯を食っているので、英語より中国語のほうができるとは思いますが、自分自身中国では初対面の人には英語で話しかけ、本音を引き出すモードになると中国語に切り替えます。その際、「グローバルな時代だから英語で話そうと思ったけど、やっぱりアジア人ですから中国語が楽ですよ、無理しすぎたかな」とかいうと、必ず場が和むと同時に英語を話すアジア人同士の親近感を持つようになるのです。(2011/10/30)

今回の記事には100%同意します。日本では外国人が一所懸命日本語で話しかけてきたら親身になって聞き取ろうとしますが、中国では言葉もまともに話せないヤツとバカにされます。中国でアパートを探したときに、不動産屋で片言の中国語で苦労して話していると若い店員から明らかに見下した態度をとられました。そこで2軒目からは英語しか話さないようにすると全く対応が異なり、最後には自分は英語がへたでごめんなさいとあやまってきました。これほどまでに態度が違うのかとこちらが驚いたほどです。これに味をしめて肝心なことは英語で話すようにしています。ただ、記事にもありましたが、中国の大学生の語学レベルは日本とは桁違いに優秀なので、逆に英語でも圧倒されてやはり日本人は英語がへたといわれないように注意が必要ですが。(2011/10/27)

大学卒業のために外国語の習得レベルを明記することを全面的に賛成です。また、英語だけでなく、もっと多様な言語を習得した日本人が必要と思います。明治時代の語学スペシャリストに今は完全に負けている。 また、外務省や他省庁の外国語能力にも疑問符がつく。実に貧弱な、会議の場ではなんとかやり過ごせても実は込み入った表現を使うネイティブ的な外国語話せる人はどれだけいるのだろうか。商社の方が上かもしれない。そうであれば、外務省も民間の語学スペシャリストを受け入れてはどうだろうか。(2011/10/27)

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