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チベット僧侶の殉教

胡温体制は歴史に名を残すチャンスを生かせるか

2011年11月2日(水)

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 チベット仏教の最高指導者のダライ・ラマ14世が日本の被災地を訪問するという。東京・護国寺での49日法要を営んでくださったことは記憶に新しいが、いつまでも被災地のことを忘れずにいて、被災地に足を運び、日本のために祈ってくださることに、私は素直に感激する。

 不思議なことに、日本の仏教のある宗派の指導者が現地を訪れ法要を行ったと言うニュースを聞いても、これほどには感激しなかった。それが世界的な宗教者が備えるカリスマ性というものなのだろう。今の日本の仏教界にそれほどのカリスマはいない。

 誤解を恐れずに言えば、日本において、祈ることで人々に安堵や慰めを与えることのできるスピリチャルリーダーは、今のところ天皇陛下しかおられない。ダライ・ラマ14世は、チベットにおいては天皇陛下に相当する方であり、宗教指導者がわざわざ被災地に来られたのだ、という感謝と敬意がある。

 普段、信仰など意識していなくても、こういう瞬間に、自分のような俗物の中にも、祈りを求める気持ちがあることに気づかされる。程度の差はあれ、信仰は万人が必要としているものだと改めて思う。カリスマ性を持った宗教指導者が、ときに政治力を持ち、危うい方向に人々を導いた歴史があったとしても、信仰そのものを多くの人が必要としている事実は否定できない。信仰の自由が基本的人権に含まれることを今さらながらに納得するのである。

 しかし、日本に深い同情を寄せてくれるダライ・ラマ14世と、法王を心のよりどころとして生きているチベット僧侶たちが直面している現実は、今、特に厳しい。先日も今年3月以降、10人目となるチベット僧侶の焼身自殺者が出た。チベット仏教を信仰する自由を求めての抗議の自殺だという。

2500人の僧侶を“兵糧攻め”

 一連のチベット僧侶の連続焼身自殺事件は今年3月にさかのぼる。既報だが、改めて整理してみる。

 ちょうど2008年3月17日に発生しチベット全地域に拡大したチベット族の蜂起とその武力弾圧事件から3周年を迎える前日の今年3月16日、四川省アバ・チベット族チャン族自治州のキルティ僧院で、21歳の僧侶ロプサン・プンツォさんが灯油を浴びて自らに火をつけて自殺を図った。

 火のついたまま、大声で抗議の声を上げながら走り回ったという。警官隊は彼を殴り倒し、暴行を加え連行しようとしたが、叔父であり師である僧侶・ロブサン・ツォンドゥさんらがこれをかばい、阻止した。この事件は北京側からも発表され、警察がロブサン・プンツォさんを病院に運ぼうとしたのを僧侶たちが阻止したために、彼は死亡した、とした。

 この事件後、キルティ僧院が武装警察に包囲され、中で暮す2500人の僧侶への食糧・水が断たれるという“兵糧攻め”に遭い、一時は餓死者が出るのではないか、と心配された。また僧侶約300人が「再教育」の目的で拘束され、いずこかに連行された。この連行された僧侶たちがどうなったのか、続報はない。

火ダルマ状態でチベットの自由を叫ぶ

 8月15日、四川省ガンゼ・チベット族自治州のニンツォ僧院で29歳の僧侶ツェワン・ノルブさんが焼身自殺。8月末には、プンツォさんを警官隊の暴行からかばった叔父ツォンドゥさんが「治療妨害による故意殺人」の罪で懲役11年の判決を受けた。

 さらに9月26日にキルティ僧院の2人の僧侶・ロプサン・ケルサンさん、ロプサン・クンチョクさん、10月3日にキルティ僧院の僧侶ケルサン・ワンチュクさん、同7日には当局から強制的に還俗させられた元僧侶チュペルさん、カインさんが相次いで焼身自殺を図った。いずれも17歳から19歳の若者だという。

コメント7件コメント/レビュー

「信仰は万人が必要としているものだと改めて思う。」に特定の宗教が深く結びついた人を世間では狂信者と言います(抜けようとした元信者を車で連れ去ったりとか)。ご注意を。■信仰の自由とは信仰しない自由、信仰を必要としない自由もあります。■動かない機械は祈ったって動き出したりはしないし、動く機会は祈らなくてもちゃんと動きます。そういう世界で生きている人もいるという事です。(2011/11/02)

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「チベット僧侶の殉教」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

「信仰は万人が必要としているものだと改めて思う。」に特定の宗教が深く結びついた人を世間では狂信者と言います(抜けようとした元信者を車で連れ去ったりとか)。ご注意を。■信仰の自由とは信仰しない自由、信仰を必要としない自由もあります。■動かない機械は祈ったって動き出したりはしないし、動く機会は祈らなくてもちゃんと動きます。そういう世界で生きている人もいるという事です。(2011/11/02)

≪この痛ましい殉教の連鎖を止めるために、私たちが今のところ出来ることは、この事件を周囲の人々、特に中国の普通の人々に、誤解ないように説明し、中国の民族政策の問題点について理解を求め、中国の国内世論を多少なりとも喚起するぐらいしかない。≫おそらく中国の普通の(教育レベルの高くない、と理解して)人に理解してもらうのは無理です。周りからの情報は少なく、少数民族に関するトラブルは見ない言わない聞かない状態が普通です。愛国教育も行き届き、テレビでは幸せそうな少数民族が歌い踊り、笑顔を振りまく番組が毎日のように流れています。自分自身の損得勘定以外には興味を持たない人が普通です。遠い世界なのです、チベットは。 また、高学歴の人なら反発してくるでしょう。お得意のせりふ「内政干渉だ」があります。私の中国滞在中、これに関する会話は皆無に等しかった。客観的に見られるはずの日本でさえ、理解しがたい意見があるのに、日本人が普通の中国人を啓蒙するなど論外ですし、その理不尽さをを理解しても、彼らが自分たちの生命線であるチベットを手放すことに賛同するはずがない。 結果、このような痛ましい犠牲とダライラマのパフォーマンスが続くわけです。これらを有効にするためには、国際的な、特に各国政府の中国に対する圧力が必要ですが、今はそれも残念ながら望めません。世界の人々がチベットを忘れない、注視することが即効力はありませんが、今私たちにできること。であれば、彼らの犠牲やダライラマの活動も有効になりますね。(2011/11/02)

私も祈ります。これしか書けません。(2011/11/02)

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