2011年9月29日に“中国指数研究院”が発表した「2011年前3四半期の中国主要都市住宅市場交易情報」によれば、2011年の1〜3四半期<以下「前3四半期」>は、不動産政策に変更はなく、抑制がさらに強まったことから、市場は全体として低迷し、6割を超す都市で取引量が低下した。主要20都市中の13都市では前3四半期の取引量が前年同期比で下降し、最高の下げ幅を記録したのは海南省海口市で49.27%であった。その他7都市の前3四半期取引量は前年同期と同水準であった。なお、平均取引価格は過半数の都市が前年同期比で上昇したが、一部の都市では上げ幅が比較的大きかった。
8つの重点都市(北京、上海、天津、重慶、深圳、杭洲、南京、成都)では、天津と成都だけが前3四半期の契約面積が前年同期よりも若干上昇したが、その他6都市は前年同期と同水準であった。また、平均取引価格は前年同期比で北京、深圳、天津が下落、重慶、上海、杭州が上昇で、上げ幅最高は重慶で24.11%であった。
客は値下がり期待で様子見となる
一方、10月24日に上海市統計局が発表した「前3四半期の上海市不動産市場運行態勢」によれば、2011年前3四半期における“商品房(商品家屋)”<注1>の販売面積は1306.75万平方メートルで前年同期比13.1%減、そのうちの“商品住宅”は1062.58万平方メートルで前年同期比14.9%減であった。なお、商品住宅の月平均販売面積は、2009年に244万平方メートルであったものが、2010年には140万平方メートルに急落し、2011年前3四半期では118万平方メートルまで下落している。
<注1>“商品房”とは不動産デベロッパーが開発・経営する不動産物件(商品家屋)で、“商品住宅(住居用家屋)”、事務用家屋、店舗用家屋などを含む。なお、“商品住宅”は端的に言えば「分譲マンション」。
中国では“九金十銀”と言って、9月の中秋節連休と10月の国慶節連休で消費が盛んになることから、この2カ月は商売人にとって書き入れ時である。ところが、上述したような不動産不況で不動産業界は閑古鳥で、住宅を販売したくても客が来ない。住宅不況が報道されればされるほど、客は値下がり期待で様子見となる。住宅が売れなければ現金収入が入ってこない、銀行から融資を受けようにも、不動産業界へのローン供与は規制されている。そうなると、体力のない不動産業者は倒産するしかないが、大手業者は販売価格の値下げに活路を見いだそうとする。
住宅価格が3分の1も下がってしまった
10月22日の午後、上海市嘉定区にあるマンション“龍湖酈城”の販売所は300人以上の「以前のマンション購入者」<以下「既購入者」>によって占拠された。彼らは当該マンションを販売する不動産デベロッパー“龍湖地産”が大幅な値引き販売を実施したことに憤慨して押しかけたのだった。龍湖地産は1994年創業の北京を本拠とする不動産デベロッパーで、2009年11月に香港証券所に上場を果たした中国の不動産業界を代表する企業である。その大手企業がマンションを自分たちが購入した価格から大幅に値引いて販売したことを知った既購入者たちが、龍湖地産に説明を求めて押しかけたのであった。
これより前に龍湖地産は“搶収華東(華東地区売りつくし)”と称する販売促進を実施した。すなわち、10月15日から19日までの期間限定で、上海と浙江省杭州で同社が販売する3カ所のマンション合計約1000戸を“団購(グループ購入)”経由で購入すれば20%以上の大幅な値引きを受けることができると公告を出したのである。この公告は大きな反響を呼び、マンションの高値に様子見をしていた購入希望者が同社のマンション販売所に殺到し、5日間で約900戸を販売して20億元(約250億円)の売り上げを達成した。この安値販売の事実をメディアの報道で知った既購入者たちが怒り心頭に発したであろうことはよく理解できる。
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