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日本企業から中国人労働者が消えた?!

増加する集団的引き抜き

2011年11月10日(木)

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 「加藤さん、最近、大連近郊や江蘇省にある日本企業の工場から、中国人労働者が大量に姿を消しているのを知ってるかい?」

 先日、久しぶりに帰国した時に会った大手製造業の経営者にこう問われた。筆者は無意識のうちに答えた。

 「聞いたことあります。先生のところもやられているんですか?」

 この経営者は苦笑いを浮かべている。
 「まあ被害者は決して私や同業者だけじゃないようだね。中国でのビジネスはこれから、いろんな意味で苦労しそうだ」

 日中間で何らかの突発的事件が起きた際、地元に進出している日本デパートがデモ隊に取り囲まれたり、労働者ストライキで日本企業が率先して槍玉に挙げられたり――筆者はそんな場面を脳裏に描いた。

 そう、日本企業はいつもターゲット(標的)になってきた。

 しかし、今度はこれまでと少し様相が異なる。反日感情が原因ではないようだ。バッシングとも違う。悪いことをして、叩かれたのでもない。それでも、日本企業だからこそ、直面せざるを得ない壁なのかもしれない。

 ヘッドハンティングの標的だ。

 拠点とする北京に帰ってきてから、冒頭の日本人経営者の話を受けて、中国で工場を経営している日本企業の関係者に話を聞いて回った。地域や業種によって差はあるが、少なくない方が懸念を示していた。

 「そうなんだよ、加藤さん」
 「いや、うちも本当に困ってるんだ」
 「何とかしないと歯止めが効かなくなる」
 「うんうん、なるほどね」
 「それ聞いたことあるな」
 「うちはまだそこまで顕著ではないけれど心配しているよ」

昆山の工場から50人の従業員が消えた

 蘇州市に昆山(クンシャン)という県レベルの都市がある(中国の行政区分では「県」は「市」の下に当たる)。人口は164万人(うち戸籍人口は73万人)。上海から北西に約50キロ、蘇州から東に35キロに位置する同県は、国際的大都市である上海と蘇州に近いという地理的利便性が魅力で、経済発展が著しい(2010年GDP2100億元。戸籍人口で計算すると1人当たりGDP約3万ドル)。中国の県レベル都市(県級市)としてロールモデルとなっている。多くの外国企業が立地している。まさに中国の改革開放を象徴する商業都市と言える。

 数カ月前の週末。この昆山にある日本企業の某工場(以下B工場)から50人以上の労働者が突然消えた。集団的にいなくなった。事前に何の打診もなく、ただ「嫌になったから辞める」の一点張りだったと言う。後で工場関係者に背景を聞いてみると、「中国企業が日本企業で働く労働者に目をつけて、大規模なヘッドハンティングを行ったんだ。これまでも何度かあったが、今回の規模は最も大きい」とのことであった。

 中国では工場労働者に対し、待遇の一環として「衣食住」を提供するのが一般的だ。地方や農村から出稼ぎ労働者として都市で働く「農民工(ノンミンゴン)」がほとんどだからだ。彼ら・彼女らは往々にして口コミや知り合いの情報を通じて、沿岸部や都市部に「身一つ」で集団的にやってくる。子供は田舎に残し、両親に面倒を見てもらい、都市にやって来る女性も多い。

 子供を連れてきても、都市部の物価は高いので生活が困窮する。都市戸籍を持たないし、持てないため、満足のいく教育を受けさせることができない。都市部で汗を流す2億人以上の農民工が「市民」として一人前の生活ができるよう、「戸籍改革」が求められている。中国共産党にとって避けて通れない課題である。

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「日本企業から中国人労働者が消えた?!」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官