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H&M、ZARA、そしてユニクロのどこを選ぶ?

日本企業から中国人労働者が消えた理由

2011年11月17日(木)

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 前回コラムでは、最近、中国に展開する日本企業の工場から中国人労働者が集団的にヘッドハンティングされ、消えている現象について指摘した。中国の企業、特に民間企業が意図的に高めの賃金を提示し、さまよう労働者たちを誘惑しているのだ。

 行政府である国務院で、労働、社会福祉、地方経済などを担当する部門の高級官僚(以下Pさん)は「解決はなかなか難しい」とため息をつき、「日本企業がヘッドハンティングの標的になっている理由は何だと思うか」と、逆に筆者に聞いてきた。

 筆者は少し考えてから、2つの切り口から答えた。
 「日本企業が集団的ヘッドハンティングの餌食になっているという情報が流れると、中国に対して不信感を抱く日本国民のほとんどが『中国共産党が裏で工作している』とか、『依然として反日感情がはびこっており、またしても日本企業が槍玉に挙げられている』と、本能的に反応するでしょう。正直言って、私もそういう側面あるいは背景が存在することについて、注意深くウォッチしていく必要があると思います。証拠がありませんから、何とも言えませんが…」

 ここからがポイントだ。
 「しかしながら、常識的に考えてヘッドハンティングは、ターゲットとなる労働者を尊重し、優秀だと認識しているからこそ起こる現象です。しかも集団的に行われている。日本企業の工場で働く労働者が優秀で、ポテンシャルに富んでいる、場合によっては即戦力になりうる、と中国企業が理解しているからこそ起こる現象でしょう。Pさんはどうお考えですか?」

 筆者から見ても優秀で、真剣に国家の未来を考えているテクノクラートであるPさんはいつも真摯に答えてくれる。
 「加藤さん、これまでも何度もあなたと議論してきたが、間違っても『中国のマーケットが日本企業を排除しようとしている』などという錯覚は抱かないでもらいたい。反日感情が高まり、社会の安定を破壊することは、即ち中国の自爆を意味する。地方で起きていることを100%把握することはできないが、日本企業が中国経済に果たしてきた貢献について、私たち、特に地方の役人は理解している。」

日本企業で教育を受けた労働者を獲ればコストカットにつながる

 ここまでは外交辞令。Pさんの次の言葉を待った。
 「加藤さんの意見におおむね賛成だ。私も労働や社会保障を担当する中央の役人として、日頃から全国各地を回り、地方経済の等身大の姿を掌握しようと努めてきた。日本企業の評判が非常に高い。動きが鈍いとか、現場での統率力に欠けるとかいうマイナス面もしばしば耳にする。しかし、それ以上に、契約はきっちり守る、信頼関係を築くために努力を惜しまない、地方社会との絆を大切にする、という側面について中国企業は謙虚に学ばなければならない」

 「それに、日本企業で働く労働者の能力は平均して非常に高い。マナーができていて、忠誠心を持っている。働くとはどういうことか、企業人とは何を意味するか、時間を守る、同僚と協調する、上司の言うことは聞くなど、当たり前のことが徹底して教育されている。相当な時間と労力をかけて研修をしているのでしょう」

 筆者はここで口を挟んだ。
 「だからこそ標的になるのですね。日本企業で働くブルーカラーたちのレベルが平均的に高いからこそ、優秀だからこそ食われるのですね。何とも皮肉な」

コメント4

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「H&M、ZARA、そしてユニクロのどこを選ぶ?」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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