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中国の億万長者は海外移住に走る

6割が実施・検討、「財産の安全守る」理由が43%

2011年11月18日(金)

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 2011年10月29日、「中国富豪ランキング」を発表していることで名高い“胡潤研究院”<注1>が4大国有商業銀行の1つである“中国銀行”の“私人銀行(プライベートバンク)”部門と共同で、『2011年中国個人資産管理白書』を発表した。この白書は、2011年5~9月の5カ月間に全国の重点都市18カ所で「正味資産が1000万元(約1億2200万円)超の富豪」(以下「千万長者」)を対象に個別の対面調査を行い、980人から得た有効回答を分析した結果をまとめたものだ。その衝撃的な内容は中国国内で大きな波紋を巻き起こすと同時に海外メディアの注目を浴びた。ちなみに、これら980人の千万長者たちの平均資産は6000万元(約7億3200万円)以上で、平均年齢は42歳であった。

<注1>“胡潤”とは英国人のルバート・フージワーフ氏の中国名、同氏は「中国富豪ランキング」を最初に発表した人物。“胡潤研究院”は同氏が運営する中国富豪の研究機関で、「中国富豪ランキング」、「中国慈善ランキング」など各種ランキングを毎年発表している。詳細は2006年11月10日付本リポート「中国富豪ランキングの舞台裏」参照。

建設、不動産、国内の小売業などに従事

 白書が公表した注目すべき要点は次の通りである:

【1】中国の千万長者の数は2011年に前年比9.7%増の96万人に達した。彼らは主として、建設、不動産、国内の小売業などに従事している。

【2】今回、980人の千万長者たちの調査結果から以下のことが判明した:

(1) 千万長者の14%は既に海外移民を済ませていたり、申請手続き中であり、46%は海外移民を検討中である。
(2) 千万長者の約3分の1は海外移住の準備として海外投資を始めており、その海外投資額が彼らの総投資額に占める割合は平均で19%に達している。どうして海外投資が海外移住の準備になるかというと、一部の国では大型投資を行った外国人に対して永住権や国籍を与えるからで、大型投資さえしておけば、いつでも好きな時に中国を離れて当該国に移民することができる。なお、残りの30%は今後3年以内に海外投資を計画している。
(3) 海外移民の主要な目的は従来「子女の教育」であったが、徐々に「財産の安全」に変わりつつある。中国には個人に属するものは何もないというのがその理由である。
(4) 千万長者の60%超は引退後の企業を次の世代に引き渡すと考えているが、30%近い人たちは企業を企業経営の専門家に任せるとしている。

投資可能資産総額は約220兆円

 一方、2011年4月に中国の“招商銀行”と米国のコンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」が連名で発表した『2011年中国個人資産報告』には次のように書かれている:

【1】2010年に1000万元以上の投資が可能な資産家の総数は50万人で、その1人当たりの平均投資可能額は3000万元(当時のレートで約3億7500万円)、全体合計の投資可能資産は15兆元(同188兆円)であった。2011年にはその総数が59万人に達し、その投資可能資産総額は18兆元(約220兆円)に達することが予想される。

【2】今回調査対象となった1000万元以上の投資が可能な資産家のうちの60%は既に投資による海外移民を実施済みか検討中であった。1億元以上(約12.2億円)の資産を持つ企業主ではこれが特に顕著で、その27%は投資による海外移民を実施済みであり、投資による海外移民を考慮中が47%にも達している。

【3】投資による海外移民を行う3大要因:

(1) 子女教育に都合がよい:58%
(2) 財産の安全を保障するため:43%
(3) 将来の老後のための準備:32%

コメント6件コメント/レビュー

海外に投資した富豪はどのようにして中国から金を持ち出すのでしょうか。教えて欲しい。(2011/11/19)

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「中国の億万長者は海外移住に走る」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

海外に投資した富豪はどのようにして中国から金を持ち出すのでしょうか。教えて欲しい。(2011/11/19)

いろいろな中国の問題点を今まで取り上げていただいていますが、日本の安全保障的観点からこれほど「もっとやれ」と思いっきり言えてしまう問題も少ないですね。多くは人道問題だったり、悪影響が日本にまで流れてきたり。だからこそ中国政府が手を打つのも他とは比べ物にならない早さでなされるのではないかと思います。なのでぬか喜びはしてられませんが。でも他のコメント同様、彼らが日本に入ってきてくれたらと「これを読めば」思えますが、何も知らない人からすれば国籍とって永住しちゃう人でなければ「日本のあれこれを買いたたく共産党の手先」に見えて怖いんだろうなあ。(2011/11/19)

憎富主義の国に、資産形成した市民が、日常生活の安全に怯えつつ暮らすという事に無理があるでしょう。国共内戦の結果、多くの富豪が香港、台湾に逃れた歴史が証明しています。しかし、彼等が大陸本国に投資し、富を世界に還流させることで、大陸内の市民生活レベルを向上させつつ、世界経済を支えていることも、また事実です。社会主義国家の骨組みを維持しつつ、市民個々が財産を形成し、憎富抱かない社会を(現政権は、これを和階社会といっている訳ですが)実現することが先ず第一でしょう。著者は理想とおっしゃいますが、残り僅かの任期内に実現に向けた政策は次々と実行されています。ちなみに放射能事故の問題さえなければ、安全かつ親和性が高いという点で、現在有望な移民先が日本なのは明白です。日本側の視線として、海外移民の傾向を戦略的に分析し、積極的に活用する必要があるのではないでしょか。(上海から)(2011/11/18)

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