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百聞は一見にしかず~市場は自分の足で確かめよ

大学は中国への扉

2011年11月24日(木)

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 11月19日午前9時半、筆者は湖南省長沙南駅に到着した。駅はやたらと大きいのに、人影はさほど多くなかった。辺りは殺風景で、筆者が日頃北京や上海で目にするざわついた様子はなかった。

 駅の中に入ると、日本人にはお馴染みのセブン-イレブンの虹のようなカラーラインの店舗が見えた。「長沙にもあるんだ」と親近感を持って近づいてみた。

 驚いた。

 セブン-イレブンではなく「Shanshan」という別会社だったのだ。見かけはセブン-イレブンと変わらない。コピー行為だ。少なくともグレーゾーンである。

長沙南駅で偽セブン-イレブンに遭遇

 中国語に「山寨(シャンジャイ)」という言葉がある。もともとは広東語。盗賊や反政府勢力などが、政府の管理から免れるため、山中に築いた砦のことを意味する。そこから派生して、「正式には認定されていない物」を指すようになった。ヒト、モノ、お店、番組、建物、制度、価値観など、目に見えるものから見えないものまで何でも指すことができる表現だ。例えば、無名のメーカーが既存ブランドの機能やデザインをまねして作った携帯電話のことを“山寨手機”と呼ぶ。

 筆者が長沙南駅で目撃した「偽セブン-イレブン」も、中国では「山寨」の範疇に入る。同じ状況が北京や上海の駅で起こるだろうか? 筆者は起こりにくいと思う。大都市における知的財産ルールは内陸・中級都市よりも厳格だ。当局による監視もより厳しい。お店を出す側のモラルも比較的高い。

 地方に行くたびに思う。やっぱり中国は広い。北京では当たり前のことが全く通用しない局面にしばしば遭遇する。

安全を最優先に方針転換した高速鉄道

 10時03分。日本でも注目を集めた高速鉄道に乗って、湖南省の北に位置する湖北省の省都・武漢を目指した。武漢から広州までを結ぶ「武広高鉄」は2005年6月23日に建設工事が始まり、2009年12月26日に正式に開通した。全長は1068.8キロメートル、投資総額は1166億元である。

 筆者がずっと乗ってみたかった鉄道だ。武漢にも行ってみたかった。どちらも初めて足を踏み入れる、未知の空間である。武漢までの道のりは農村がほとんどで、美しい田園の光景に心が癒された。

 車両は1等座と2等座の2つに分かれている。料金はそれぞれ265元、165元。高速鉄道の切符を購入するには身分証が必要だ。私たち外国人はパスポートを持参し、窓口あるいは全国各都市の至る所にある代理店で購入する。身分証さえあれば、本人が行く必要はない。

 筆者は2等座を購入した。2等座でも車両内は清潔で、サービスも行き届いていた。乗務員の態度も良い。スペースは広く、飛行機のエコノミークラスよりもよっぽどリラックスできた。

 外形から内装、乗り心地まで日本の新幹線とさほど変わらない。これを「山寨」だと批判する言論人は少なくない。

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「百聞は一見にしかず~市場は自分の足で確かめよ」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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