「日本と韓国の交差点」

大手ディスカウントストアがデジタルテレビの激安競争を仕掛けた

アナログ放送中断を前に商戦が激化〜LGなど大手も参戦へ

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2011年11月30日(水)

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 韓国の最大手ディスカウントストアEMARTが10月27日、液晶のバックライトに発光ダイオード(LED)を使用したデジタルテレビの新製品を発売した。同社のプライベートブランド(PB)「ドリームビューTV」のラインナップの1製品だ。画面仕様は32インチ、解像度1920X1080Full HDで、価格は49万9000ウォン(約3万5000円)。サムスンやLGの32インチLEDテレビに比べて20万ウォン(約1万5000円)ほど安い。

EMARTが32インチテレビで激安戦争をしかけた

 筆者もチラシを見てEMARTに行ってみた。32インチのLEDテレビが49万9000ウォンというのは、他では見たことのない安さだったからだ。10月27日が木曜だったので、週末の土曜日に買いに行ったが、もうとっくに完売していた。同社はこの新製品を5000台限定で売り出した。朝から並んで待つ人が続出し、2日間で売り切れた。

 韓国は2012年12月31日午前4時にアナログ放送を中止する。デジタル放送に対応していないテレビでも、チューナーを取りつければデジタル放送を受信できる。だが、デジタル放送になることを言い訳にテレビを買い替えたい人は筆者だけではなかったようだ。

 ドリームビューTVが買えず、代わりにサムスンやLGの32インチLEDテレビを買った人も多かった。EMARTによると、10月27日と28日の2日間、サムスンとLGの32インチLEDテレビの販売台数は前年同期の5倍に増えたそうだ。

 ドリームビューTVは韓国版Vizioとしても注目されている。Vizioは、米の会員制ディスカウントショップCostcoが2003年に発売した激安の液晶テレビである。Vizioの価格は当時の大手メーカー製品の半額。北米市場における液晶テレビ値下げに火をつけたと言われている。ドリームビューTVは、中小メーカーの製品に対しても競争力を持つ。ネットショッピングで買える中小メーカーの32インチLEDテレビは、解像度が1366X768とドリームビューTV より劣るものでは価格は7万ウォン(約5000円)ほど高い。

 ドリームビューTVはEMARTが製品の企画、販売を担当。生産は、安くて技術力のある台湾メーカー、台湾TVP社に任せた。パソコンメーカーのTGトライジェムが全国100カ所にある拠点でアフターサービスを提供する。この点も魅力だった。

 3D競争やスマートテレビ競争が激化したため、サムスンやLGは40インチ以上のプレミアムテレビばかりを店頭に並べるようになっている。一人暮らしで、モニター兼テレビを利用している人にとっては、購入できる製品が店頭にない状態だった。

 韓国統計庁の「2010年人口住宅総調査」によると、2人家族の世帯の方が4人家族よりも多くなっている。前者は24.3%、後者は22.5%だ。大型テレビを家族みんなで囲む需要よりも自分用にテレビを買う人が増えていくのではないだろうか。世帯当たりの家族数が減っていることも、32インチ激安テレビ競争を過熱させるとみられる。

ロッテマートも参戦

 たった2日間で売り切れてしまったため、店頭ではドリームビューTVを求めてやってきた顧客から問い合わせが続出した。EMART側は「当初3カ月分の在庫として5000台を輸入した。これが2日間で売り切れた。現在は1月に輸入する分の予約を受けつけている」としている。1月の輸入分について、10月末時点で既に3000台の予約が入っているそうだ。

 筆者は、予約するかどうか迷っている。EMARTが火付け役となり、ディスカウントショップの32インチ激安デジタルテレビ競争が始まったので、今、予約しなくても安いLEDテレビを買えるようになるかもしれないからだ。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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