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国有上場企業の経営者「私腹」の中身

従業員が告発、膨れ上がった個人資産の呆れた実態

2011年12月2日(金)

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 広東省深圳市に“深圳市興業(集団)股份有限公司”(仮名、以下「深興公司」)<注1>という不動産開発企業がある。1989年5月に設立された深興公司は深圳市国有資産監督管理委員会が直接管理する“国有企業”で、1992年に“深圳証券交易所(深圳証券取引所)”に上場した上場企業でもある<注2>。深興公司は広西チワン族自治区、湖南省、天津市などに子会社を有し、多数のマンションや商業ビルを手掛け、その累計の開発面積は数百万平方メートルに及んでいる。こうした業績を背景として、深興公司は「中国不動産企業ランキング上位100社」、「中国上場企業ランキング上位100社」、「広東省不動産企業ランキング上位30社」、「深圳市不動産企業ランキング上位10社」といった企業ランキングに名を連ねる有名企業である。

<注1>中国語で“股份有限公司”は「株式会社」を意味する。

莫大な資産の出所が不明

 この深興公司の経営トップは“董事長(会長)”の“李勇明”(仮名)であり、彼の略歴は次のようになっている:

 李勇明:男、1956年生まれ。修士研究生、高級技師、“高級政工師”<注2>。中国人民解放軍00314部隊の技師補から1983年に実業の世界に入り、深圳市第五建築工程公司を皮切りに、深圳市建設(集団)公司、深圳市物業発展(集団)股份有限公司、深圳市建設投控股公司などの建設や不動産関連の企業で“総経理(社長)”、“副総裁”などを歴任した後、2003年5月に深興公司の董事長に就任。

<注2>“政工師”とは中国の企業において共産党の活動や思想政治活動に従事することを認定された資格であり、“政工師”として一定の経験を積むと“高級政工師”に認定される。

 さて、前置きが長くなったが、2011年11月15日、多数のニュースサイトが「国有上場企業である深興公司董事長“李勇明”の莫大な資産が暴露された」という記事を掲載した。記事は深興公司の従業員が匿名で、深興公司の董事長である“李勇明”の出所不明な巨額の資産を告発したものであった。それは、深興公司が国有の上場企業である限りは、たとえ経営トップの董事長であろうとも、その報酬には一定の限度があるはずだが、李勇明の資産は明らかにその限度を遥かに超えた莫大なものであり、その出所は不明だというものであった。当該告発の内容は以下の通りである:

2005年からは娘が英国に自費留学

【1】株式
 2006年から2008年までの間に、深興公司董事長の李勇明は、各種の規則違反や違法な名目あるいは不当に安い価格で深興公司の株式(A株)<注3>を243万4518株買い入れた。李勇明が当該株式の購入に支払った金額は合計888万9300元(当時のレートで約1億3330万円)であるが、現在の株式時価総額は5000万元(約6億1000万円)以上になっている。これ以外に李勇明は2007年12月に子会社の“興業恵陽”(仮名)の株式400株を20万元(当時のレートで約300万円)で購入している。従い、李勇明が株式購入で支払った金額の合計は908万9300元(同約1億3630万円)となる。

<注3>中国の株式は国内投資家向けの「A株」と海外投資家向けの「B株」に区分されている。

コメント4件コメント/レビュー

「三年清知府、十万雪花銀」ですね。表面上「清廉潔白」な知事でも三年間も勤め上げれば、十万両もの銀が手に入る。中国では役得というものが当然視されていて、役得があるのなら行使しなければ損だというのが当たり前の考え方ですから。国営企業の社長や政治家は大規模に汚職し、役人は公用車を私用に使い、中小企業は脱税や偽物作り、庶民は職権の及ぶ範囲でちょっとした不正を働いて小遣い稼ぎしたり、親類に便宜を図る。あるいは、外国の「中国崩壊論」が外れ続ける理由もそこかもしれませんね。確かにジニ係数その他表面上に現れる経済データだけを見れば中国は非常に「ヤバイ」状態で革命が起きてもおかしくありませんが、中国では上は政治家から下は庶民までが「役得」を得ることで我慢できている面もあると思います。乱筆乱文お詫びします。(2011/12/05)

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「国有上場企業の経営者「私腹」の中身」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

「三年清知府、十万雪花銀」ですね。表面上「清廉潔白」な知事でも三年間も勤め上げれば、十万両もの銀が手に入る。中国では役得というものが当然視されていて、役得があるのなら行使しなければ損だというのが当たり前の考え方ですから。国営企業の社長や政治家は大規模に汚職し、役人は公用車を私用に使い、中小企業は脱税や偽物作り、庶民は職権の及ぶ範囲でちょっとした不正を働いて小遣い稼ぎしたり、親類に便宜を図る。あるいは、外国の「中国崩壊論」が外れ続ける理由もそこかもしれませんね。確かにジニ係数その他表面上に現れる経済データだけを見れば中国は非常に「ヤバイ」状態で革命が起きてもおかしくありませんが、中国では上は政治家から下は庶民までが「役得」を得ることで我慢できている面もあると思います。乱筆乱文お詫びします。(2011/12/05)

取り締まるほうも取り締まられるほうも、同じ穴の狢。上は主席から下は…果てしなく広がる腐敗と思っています。その中で暮らせば腐臭も慣れきって感じないのでは。たまのガス抜きもうまいですから、それはそれでうまくいってるってことでしょう。正義の意味が中国では違う気がします。(2011/12/03)

記事の背景には、公務員としての共産党幹部の腐敗(汚職)を防止する為に定められた「出所不明財産形成罪」(出所を明らかに出来ない財産を保有している罪)とでも訳すべき罪状が存在しています。国(党中央)・省(直轄市)・県・区(郷鎮)各階層政府レベルの検察に併設された腐敗防止規律委員会によって執行される、党幹部が特権階級化する事を防ぐ為の規律ですが、「李下に冠を正さず」を実践し、共産党が自戒する為という当初の目的よりも、富憎を抱く民衆の疑惑の眼から生ずる、党組織行政体制への不満を逸らす役割も担っています。今回の事件があえて明るみに出た事は、社会構造上の所得乖離が激しくなった庶民の不満のガス抜きと、国進民退の内需経済情勢へのバランス調整が始まったと見るべきかもしれません。何れにしても、昨年以降強化されている、公的資金出資企業への検察の眼が厳しくなることは確かでしょう。当然、民間の千万長者に対する税務当局の監督及び課税強化への下準備でもある訳ですが。しかし、「出所不明財産形成罪」の持つ、公金の横領や公権力の乱用は人民に対する罪、国家反逆罪に匹敵するという概念は、どこぞの国にも導入してみた方が良いかもしれませんね。(上海から)(2011/12/02)

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