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日本ブランドの信用は取り戻せるか

粉ミルク市場の概観から

2011年12月14日(水)

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 先日、重慶市のスーパーで、奇妙な窃盗が起こった。ある女性が高級粉ミルクの棚から、3度にわたってすべての粉ミルクを盗んだのだ。まず買い物籠に、3つほど入れて、奥に消えたかと思うと、また空の籠をもって粉ミルク棚の前に行き、また3つほど籠に入れる。それを何度か繰り返し、粉ミルクの棚はからになった。

 スーパー内に設置された監視カメラがその様子をとらえた。おそらく、監視カメラの届かないところで、別の人間が粉ミルクを受け取って、素知らぬ顔でスーパーを出ていったのだろう。この粉ミルク専門の窃盗犯のニュースは、各地で12月9日のテレビニュースで流れた。

 明治乳業の粉ミルクからセシウムが検出され、40万缶について無償交換に応じると発表して間もなくのことなので、やがて起きるかもしれない中国での粉ミルク便乗値上げを想定しての犯行かもしれない。中国というところは、食品安全事件のような生活に直接関わる問題が起きると、買い占めや便乗値上げ見越した極端な“自己防衛行動”に出る人が少なくない。

 福島の原発事故直後には、今後生産される日本産粉ミルクの品質に問題が出るのでは、と心配した各地の母親たちによるネットショップ上の日本製ミルクの買い占め騒動も起きていた。

 今回の事件は、自己防衛どころか、犯人の顔がばっちり監視カメラに映ってしまったので、自分たちが“お縄”になるのも時間の問題だが、中国の母親たちの粉ミルク不安を反映する事件だろう。

粉ミルクは食品問題の縮図

 明治の粉ミルクから1キログラム当たり30.8ベクレルの放射性セシウムが検出されたというニュースは中国においても高い関心を呼んだ。明治の「ステップ」「ほほえみ」は中国でも人気のブランドだった。明治の中国子会社の発表では、中国で流通している熊のイラストの粉ミルクはがオーストラリア生産を蘇州工場で包装したものであり、交換対象の汚染ミルクではないそうだが、中国の消費者らの間にではやはり動揺が広がっているのだ。

 中国には、個人輸入や輸入代行業者経由で日本の埼玉工場で作られた問題粉ミルクが推定8000缶以上流通していると言われている。地震直後、多くの輸入代行業者は日本からの食品輸入を停止していたので決して多くはない。だが、それでもインターネットショッピングに慣れている「80後(1980年代生まれ)」の若いちょっと裕福な夫婦は、タオバオなどのオンラインショッピングサイトを通じて購入し続けていた。

 日本に親せきがいる人から送ってもらったり、日本旅行に行く人に買ってきてもらったりする人もいる。こういう場合は数千元分、10缶、20缶をまとめ買いしているだけに、問題が出たときのショックが大きい。

 本来、こういう「水貨」と言われる並行輸入については、修理やリコール問題が起きても本社は対応しないのが普通だ。香港などの輸入代行者も返品を受け付けないなどと発表しており、問題粉ミルクを大量に買ってしまった人の不満や悲鳴は、日本の私のところまで聞こえていた。

 粉ミルクというのは中国における食品問題の縮図みたいなところがある。

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「日本ブランドの信用は取り戻せるか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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