「日本と韓国の交差点」

中国漁船が韓国海洋警察官を殺害〜原因は韓国の低姿勢外交?

またもや起きてしまった

バックナンバー

2011年12月21日(水)

1/3ページ

印刷ページ

 またもや起きてしまった。

 2011年12月12日の早朝、仁川市オンジン郡ソチョン島南西85キロ(韓国の西海岸)の海上――韓国の排他的経済水域――で中国漁船の不法操業を取り締まっていた海洋警察官が、中国漁船の船長に殺害される事件が発生した。

 海洋警察官が中国漁船の不法操業取り締まり中に亡くなったのはこれが2度目である。2008年9月にも、警察官が中国漁船の乗組員にシャベルで殴られ、海に突き落とされて亡くなっている。海洋警察庁によると、2008年から2011年11月までの間に、中国漁船の取り締まり中に負傷した海洋警察官は28人にのぼる。

中国漁船は逃げるどころか襲い掛かってくる

 海洋警察庁は12月13日に記者会見を行い、12日早朝の不法操業取り締まりの様子を詳しく説明した。警察官10人が中国漁船に乗り移った時に、もう1隻の中国漁船が、わざと船を4〜5回衝突させた。

 警察官らが倒れかかったすきを突いて、中国人乗組員らが竹槍とシャベルを持って殴りかかった。船長が、1人の警察官の脇腹を25センチの刃物で刺した。彼は仁川市内の病院に搬送されたが亡くなった。腹部を刺されたもう1人の警察官は一命をとりとめた。

 船を衝突させ海洋警察の取り締まりを妨害したもう1隻の中国漁船からは竹槍、鎌、ハンマー、鉄パイプといった凶器が20点みつかった。

 取り締まりをする海洋警察官のヘルメットにはカメラがついていて、一部始終を録画し、証拠として残すようにしている。このカメラに映った映像と船内で見つかった凶器などの証拠物を元に、海洋警察庁が警察官殺害事件の捜査を行っている。

 記者会見をした海洋警察官らは現場の厳しさをこう語った。「中国漁船の不法操業取り締まりは命がけである」「中国漁船の乗組員らが竹槍や鉄パイプで猛烈に抵抗するので、命の危険を感じる。それでも外交問題になる恐れがあるので銃は使えない」「中国漁船の不法操業をより強力に取り締まることができるよう、装備と制度を改善しないといけない」

 中国漁船は、韓国側の取り締まりを妨害するため必ず複数で行動する。多い時は100隻もの船団を組んで一斉に不法操業をする。海洋警察や漁業指導船――海洋警察庁とともに違法操業を取り締まる政府機関――が取り締まろうとすると、次々に船を衝突させて取り締まりを妨害する。不法操業をしながらも、逃げるどころか漁業指導船近づいてきて威嚇する。10〜16人規模で移動する海洋警察や漁業指導船の手には負えない状況になっている。

 海洋警察官は銃を持ってはいるが、規定により、まず警告射撃をしなければならない。その後も、撃てるのは脚だけだ。凶器を持って襲い掛かってくる中国漁船の乗組員を前にいちいち警告射撃はしていられない。結局、銃は使えず、肉弾戦をするしかない。まさに命がけの取り締まりだ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント6 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン