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【特別編】中国発弔電が意味する3つのこと

これからの北朝鮮に中国首脳部がやろうとしていることは…

2011年12月21日(水)

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 12月19日12時30分(北京時間)。出張先から北京首都国際空港へ降り立ち、携帯電話の電源をオンにした筆者は、即座に異様な空気を感じた。数秒間隔でメールが入ってくる。

 「聞いた?」
 「ちょっと信じられないよね?」
 「情報は本当なの?」
 「今晩、番組に来れる?」
 「この地域は荒れるのかな?」

 「北朝鮮」「金正日」「死去」。これらの名詞、固有名詞は一切使われていなかった。監視や盗聴を考慮して、携帯電話による連絡では固有名詞を極力使わないようにしている。

 久しぶりに北京に戻ってきた。多くの中国人記者たちが、空港の出口で筆者を待ち構えていた。いつもなら、「久しぶりの北京はどうですか?」「この前のあのニュースについてはどう思いますか?」「向こう2週間はどういう予定ですか?」などという質問から入って、ざっくばらんなコミュニケーションを交わす。だが、この日は違った。

 12月25~26日に予定されている野田佳彦首相の訪中に関する質問が来るだろうと信じて疑わなかったのに、国際部(日本でいう「外報部」)に所属する記者たちはただそわそわしているだけ。頻繁に携帯電話を気にしている。ほとんどの記者が米アップル社のIphone4を使用していた。

 筆者が旧知の記者に「何かあったの? 私の携帯にもさっきからやたらと携帯メールが入ってきているんだけど。なんか騒がしいな」

 「金正日が死んだ」

 筆者はわが耳を疑った。時計の針は12時50分を指していた。この情報は事前に察知できなかった。聞いた後も信じられなかった。記者たちと特別な会話をすることもなく、筆者はそのままタクシーに乗り込み、日頃からインテリジェンスづき合いをしている研究者やジャーナリストたちに電話をかけ、情報収集に努めた。書斎兼の自宅までは約40分。この間に基本的な事実関係を整理した。帰宅後、インターネットにアクセスして世論の動向をチェックしようと腹を決めた。

 「金正日が亡くなったって本当ですか? ちょっと信じられないニュースなんだが」

 政府系シンクタンクで北東アジアについて研究している知人に単刀直入に聞いた。盗聴なんて気にしている場合ではなかった。仮に「金正日死去」が真実であれば、盗聴する側だって今はパニックに陥っているはずだ。お構いなしに話そうと覚悟を決めた。

 「本当だよ。確定だ。朝鮮中央通信社が報道して、新華社通信もオーソライズした。2日前に亡くなっている。視察中に心筋梗塞で亡くなったようだ。」

 筆者は冷静を保って答えた。
 「そうですか。本当だったんですね。じゃあ今、テレビやネットはこのニュースでいっぱいですね。でも死去2日後にニュースとして流すなんて、比較的迅速ですね」

 先方も冷静だった。「そうだな。この2日間で葬儀に関する日程や金正日死去後の権力移譲に関する基本的な体制を確立したらしい。国内の動乱、難民の流出、軍部のクーデターなどが起こらない、ということを確認してから報道したらしいぞ」。

 そろそろ別の人間に話を聞いてクロスチェックしたかった筆者は御礼を言った。「ありがとうございます。参考になりました。引き続き連絡取っていきましょう」

 それから、党機関紙≪人民日報≫の信頼しているデスクに電話をかけた。

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「【特別編】中国発弔電が意味する3つのこと」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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