「日本と韓国の交差点」

金正日に弔意を表するのは「親北」? それとも「人道行為」?

ある社員は、土下座し謝罪させられた

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2011年12月22日(木)

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 金正日総書記が死亡した。12月19日の昼、韓国のテレビは金正日死亡を伝え、ソウルの街中では号外が配られた。

 李明博大統領は19日に国家安全保障会議を主宰し、「国民は動揺することなく経済活動に専念してほしい」と発言した。

 これに応えるかのように、全国経済人連合会と大韓商工会議所が「北朝鮮リスクが韓国経済と企業に与える悪影響を最小化するよう政府は万全の努力をすべきである」「我々企業もこのような状況に動揺することなく経営活動に力を入れる」との声明を発表した。

 市民は落ち着いている。今まで何度も「金正日死亡」という噂が流れたので、最初は「本当に死んだのか?」と疑ってネットで検索する人が続出した。インターネット新聞のコメント欄やTwitterでも「本当に金正日が死んだのか? デマではないのか?」と確認する人が相次いだ。

 市民の間には「北朝鮮が韓国に攻めてくる」とか、「軍事的に緊張する」といった不安や動揺は見られない。非常食を買うといった動きも見られない。北朝鮮から近い黄海の島を行きかう旅客船は正常に運行している。運航統制の予定もない。北朝鮮にあるケソン公団に入居している韓国企業の関係者もいつも通り出入りしている。

 12月20日付のマネートゥデイ(新聞)によると、若い世代ほど、金正日総書記の死亡について「驚いたけど、それがどうした?」という反応を見せているという。

 マネートゥデイが金正日総書記死亡に関して世論調査を実施した。ある中高大学生は「ニュースを見て驚いたけど、期末テスト中なので他のことはあまり興味がない」と答えた。30〜40代の回答者は「戦争が起こる心配はしていない。それより株価下落と物価高騰の方が心配」と答えた。60代以上のある回答者は「北朝鮮の人を苦しめた独裁者が死んですっきりした。早く半島を統一してほしい」と答えたという。北朝鮮に対する考え方の世代間ギャップが浮き彫りになった。

軍は警戒レベルをアップ

 市民の反応は落ち着いているが、韓国は現在、北朝鮮と休戦中である。金正日総書記の死亡後、すぐに非常態勢に入った。

 韓国は徴兵制を敷いており、65万人前後の兵士がいる。19日昼に金正日総書記死亡のニュースが報道されると、休暇中の軍人がすぐ呼び戻された。

 軍は各種の警戒レベル――非常警戒態勢、INFOCON、情報作戦防護体制、Watch Condition、Defense Readiness Condition――を高めている。

 軍は12月19日午後2時、非常警戒態勢のレベル2に入った。平常よりも1段階上の緊張体制である。

 情報作戦防護体制であるINFOCON(Information Condition)もレベル5からレベル4に引き上げた。軍内部のサイバーパトロール人員を2倍に増やし、ハッキングやDDOS攻撃などのサイバーテロに備える。

 INFOCON5は準備態勢、同4は軍事警戒増加、同3は準備態勢向上、同2は準備態勢強化、同1は最上の準備態勢となっている。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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