「オンラインの買い物と言えば、やっぱり価格が安いアマゾンだよね」と話していたのも束の間。デザイナー商品を扱うオンラインショッピングサイトが急拡大し、また別の市場を作り出している。その流れを牽引するのが、ニューヨークを拠点とするデザインプロダクトを扱うFab.comだ。今年6月に始まった、スタートから僅か6ヶ月のこのサイトは、すでに140万人の会員を獲得し、60万点以上の商品を売り上げている。

今までもデザイナー商品を扱うサイトはあったはずだが何が違うのか?。それは「フラッシュセール」という、時間限定の特価販売のマーケティングを採用している点だ。サイトでは一日に14点の商品を発売し、どの商品も特別価格で販売される。ただし売り出し期間はそれぞれ72時間、つまり3日でおしまい。それもデザイナー商品なので一点ものや在庫の薄い商品も多く、売り切れればそれで終わりだ。期間限定でデザイナー商品が安く、しかも売り切れてしまう可能性も高いという理由から、消費者の購買意欲を掻き立てているのだ。
取り扱っている商品は、食器から家具、アクセサリーまで多岐に渡るが、全てモダンで非常にデザイン性が優れているものばかりというところで一貫している。品揃えが幅広いので、値段は様々。例えばWolfumというブランドのプリント柄のクッションカバーは85ドルのところを36ドル(約2800円)。またビンテージの家具を扱うDorset Findsというブランドの1000ドルのデスクランプが600ドル(約4万8000円)という、高めのインテリア家具もある。全体的には買いやすい1万円以下の価格帯が多いようだ。
人気の高さの要因は、やはり全体的なデザインのクオリティーの高さだ。マスプロダクトを作っている人ではなく、非常に優れた商品を作るユニークなデザイナーを発掘して集めている。アーティストがハンドメイドのアクセサリーや洋服を販売するオンラインサイト「Etsy(エッツィー)」と比較されることがよくある。しかしFabは誰でも販売できる訳ではなく、Fabのチームが好むモダンなデザインがキュレーションされてサイトに並ぶのだ。1日14人のデザイナーであれば、買う側も選択肢が絞られているので、買い物がしやすい。また、次はどんな商品が出てくるのだろうかと、非常に楽しみになりサイトに戻ってきてしまうという訳だ。
アイデアですね。でも、このくらいのアイデアなら日本だってできそうだが、日本にはないのでしょうか。ないのなら、なぜできないのでしょうか。(2011/12/28)