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長男・金正男氏は“隠し球”になり得る

暗殺の脅威もある中で、中国の庇護を受けていた存在

2011年12月28日(水)

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 北朝鮮の金正日総書記が12月17日に急逝した。極東情勢の不透明感がにわかに増している。

 聞くところによると、北朝鮮国内の市場は一時的に閉鎖され、まずは人々の生活が以前にも増して圧迫されているという。香港紙・蘋果日報の記者が吉林省延吉の国境付近で取材してきたところ、人民解放軍のエリート部隊が既に北朝鮮内に変装して進駐、永訣式(葬儀)の警護に協力するとともに、クーデターや政変に備えているという。

 また、マカオに滞在していた金正日氏の長男・金正男氏は、隠密裏に北京に向かったようである。金正日氏の永訣式の葬儀委員名簿に正男氏の名前はなく、金正恩氏と軍部から敵視されている正男氏を中国が今後、どのように扱うかは気にかかる。

 後継者である三男、正恩氏は28歳の政治経験に乏しく、戦争経験もない若者で、党と軍を完全に把握したとは言い難い状況だ。哀悼ムードの数カ月が過ぎれば複雑な権力闘争が起きてくる可能性がないとは言えないだろう。しかもかの国は既に核を持つ。いったい今後、半島はどうなるのか。

 こういう状況で気になるのが中国の出方である。中国はこの予想より早くきたこの国の政権交代をどうとらえているのだろう。北朝鮮がどうなると想定しているのだろうか。

金正日氏は本音では中国を嫌っていた

 今の中朝関係は、一時期に比べればかなり良くなっている。6カ国協議のホスト国として北朝鮮に振り回され、煮え湯を飲まされた2003年2月などは中朝重油パイプラインを止め、北朝鮮に厳しい圧力をかけるなど、かなり険悪な状況も続いた。外交当局者や党中央幹部も北朝鮮へのいら立ちを隠せていなかった。

 だが最終的には共産党・社会主義の理念からみれば“けしからん”はずの北朝鮮の世襲3代目の正恩氏を後継者として支持。2010年10月には中国の次期総書記となる習近平氏が「抗米援朝戦争(朝鮮戦争)は正義の戦争である。血で結ばれた友誼を決して忘れない」と発言し、北朝鮮への親近感をアピールしたことも記憶に新しい。党・政府ともハイレベルの交流も頻繁になった。

 こういったここ数年の中国の対北朝鮮軟化ムードはやはり、北朝鮮の政権交代時期を見越した布石の1つと言えるだろう。結構知られていることだが、金正日氏は本音では中国を嫌っていた。また「米帝の犬10匹より内部に入り込んだソ連や中国の犬1匹の方が危険」(デイリーNKの孫光柱氏コラム)と口走るほど中国を警戒していたという。老練な瀬戸際外交で中国を翻弄してきた金正日が逝った今、中国を手こずらせるような政治巧者は北朝鮮にいなくなったことを、中国側はチャンスとみるのではないだろうか。

 実際、最近の香港・フェニックステレビで、在米華人学者・湯本氏は「金正日死去は中国が対北朝鮮政治戦略、および経済影響力を拡大する好機であり、伝統的な朝鮮内政不干渉の態度を放棄し、積極的影響力を行使する新たな中朝関係を創るべきである」と主張していた。金正恩政権が言われているように軍も党も把握しきれていないならば、中国が影響力を発揮することは北朝鮮の安定につながる、というわけだ。国際社会における孤児同然の正恩氏が頼ることができるのは、中国だけである、と。

 若い正恩氏の摂政として後見人役となっている正日氏妹婿の張成沢氏は中国式社会主義市場経済を支持する改革派であり、中国とも太いパイプを持つとされる。中国としてはこの張成沢氏を通じて正恩体制を改革開放路線に導きたい狙いがあると言われている。北朝鮮の安定はその経済発展にかかっているとする立場から、湯本氏は「大量の朝鮮族幹部を北朝鮮に送りこみ、北朝鮮の改革派幹部養成の手助けをし、その改革水準を引き上げるべし」とかなり大胆な提言をしていた。

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「長男・金正男氏は“隠し球”になり得る」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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