「中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス」

中国人の日本人女性幻想

ブランド力があるうちがチャンス?

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2012年1月12日(木)

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 先日、浙江省温州市を訪れたときのことである。空港からタクシーに乗り市内の予約していたホテルに向かった。中国のタクシー運転手は概しておしゃべりで、いろいろ話しかけてくる。

「どこから来たの?」「旅行?」「仕事は何?」

タクシー運転手にお見合いを仲介される

 私が日本人女性だと知ると興味はさらにエスカレートしたみたいで、「年齢はいくつ?」「結婚はしているの?」「子供はいるの?」「年収は?」と個人的なことまで深く聞いてくる。中国人では、初対面の女性に年齢や結婚、子供の有無などプライバシーにかかわることを聞くのは、別に失礼という意識もなく、当たり前のこと。私も慣れっこである。

 それで、44歳で、独身で、子供もいない、職業はマスコミ、と答えておいた。すると「それは本当か?30歳くらいだと思った!」といたく驚く。

 こういう反応はよくあることで、日本人の中年女性は、中国人女性に比べると本当に若く見え、実際、肉体的にも肌年齢的にも精神的にも若い。日本人の40歳代が中国人の30歳前後に相当するというのは私も同感である。

 続けて「なぜずっと独身なのか。さびしくないのか。もう結婚する気はないのか。恋人はいるのか…」と聞いてくる。正直、初対面のタクシー運転手にそこまで説明する必要はない。「仕事ばっかりしてきたから、結婚のチャンスを逃した。いい人があれば、結婚したいな、ただいま婚活中」と適当に答えておいた。

 運転手は、しつこく、どういう人がいいのだ、と聞いてくる。こっちも、だんだん面倒になってきて「金持ちがいい。身長は180cm以上、私より若くて、ハンサム、大学卒業以上の学歴でないと」と言いたい放題言っておいた。すると、驚くべきことに「紹介しようか」という。「温州企業の社長で、大金持ちではないが、年収は100万元から200万元で安定している。今年40歳、悪くないだろう?」

 タクシー運転手からお見合いを仲介されるとは予想しなかった。しかも、そんな高飛車な要求がまかり通るとは。「じゃあ、紹介して」というと、すぐ携帯電話を取り出して、「日本人女性がいるんだ。どうだ、会ってみないか?」と、まるで掘り出しものをみつけたよ、という口調で、約束を取り付け始めた。

 それを聞きながら、なるほど、日本人女性って(別に若くなくても美人でなくても)、今でもブランドなんだ…と改めて思ったのである。

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著者プロフィール

福島 香織(ふくしま・かおり)
ジャーナリスト

福島 香織 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)など。



このコラムについて

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。

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