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ロムニーの前途に立ちはだかる南部宗教州

アイオワとニューハンプシャーで連勝しても「ジレンマ」は消えない

2012年1月11日(水)

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アイオワ州党員集会が発信した「Mixed message」

 米大統領選の共和党候補者指名争いが本格化し始めた。中西部アイオワ州の党員集会で行われた投票で、保守中道派のミット・ロム二ー元マサチューセッツ州知事(64歳)が8票差で勝利した。

 2位は、これまで泡沫候補扱いされてきた保守強硬派のリック・サントラム元上院議員(54歳=ペンシルベニア州)、3位はリバタリアン(自由至上主義)のロン・ポール下院議員(74歳=テキサス州)。投票直前の世論調査をほぼなぞる結果となった。

アイオワ州党員集会投票の最終結果
※有効投票数12万2255票、代議員数13人
ミット・ロム二ー 3万0015票 24.6% 獲得代議員数:7人
リック・サントラム 3万0007票 24.5% 獲得代議員数:6人
ロン・ポール 2万6219票 21.4%  
ニュート・ギングリッチ 1万6251票 13.3%  
リック・ペリー 1万2604票 10.3%  
ミシェル・バックマン 6073票 5.0%  

(Des Moines Register, 1/4/2011)

 アイオワ州共和党の党員集会(Caucuses)投票結果をひと言で総括すれば、「Mixed message」(入り混じったメッセージ)の発信だった("Iowa's mixed message," Editorials, Los Angeles Times, 1/4/2012)。この結果は、まさに大統領候補指名をめぐって混迷する共和党そのものと言っていいかもしれない。

 確かに保守中道のロム二ー候補は3万15票、24.6%を獲得して1位となった。しかし2位になったサントラム候補は8票差の3万7票、24.5%を獲得。アイオワ州共和党は、ロム二ー候補を指名するかしないかで結論が出せずに、真っ二つに割れたままであることを全米に露呈したことになる。

キリスト教保守派も「茶会」支持者もロム二ーに「ノー」

 アイオワ州の人口は約300万人。そのうち共和党党員集会に出席して、票を投じたのは、共和党員として登録している人と、投票日に届けて出て有権者になる無党派の州民。今年の有権者は12万2255人で、前回の2008年投票に比べて3255人増えた。とは言え、投票した人数は「牛馬の食べる干草に紛れ込んだ1本の針」(共和党系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・ボウマン博士)のようなもの。Minority(少数) の中の Minority(少数)が共和党大統領候補選びの口火を切ったわけだ。

 だが、その針の1本1本が、これから始まる気の遠くなるような予備選の流れを決めていくのだから、アメリカ民主主義は面白い。

 アイオワ州の有権者たちがロム二ー候補とサントラム候補とに大きく割れたことは、同州の「人口の約6割を占めるエバンジェリカルズ(キリスト教保守派)や草の根保守派『茶会』支持者たちが、保守中道派でモルモン教徒のロム二ー候補をいかに嫌っているか、を如実に示した」(ディクソン・ヤギ神学博士、サザン・バプテスト教会退任牧師)と見ていいかもしれない。

 確かに、ロム二ー候補は2008年の予備選にも出馬し、アイオワ州党員集会で今回と同じ3万21票(25.2%)を獲得した。しかし、これは、前回と同じ人ばかりが投票したということだ。エバンジェリカルズは今回も、モルモン教徒に投票していないのだ(Election Center 2008: Primary Results for Iowa,)。

 そして、予備選が南部に移って行けば行くほど、エバンジェリカルズの影響力は強まっていく。モルモン教徒の東部人、ロム二ー氏にとっては急な坂が待ち構えている。

 これは「本命候補」ロム二ー氏にとってジレンマであると同時に、全党一致の強力な候補者を本選挙に向けて絞り込めない共和党全体が抱えるジレンマでもある。

獲得した代議員は、ロム二ー氏が7人、サントラム氏が6人

 フロリダ州タンパで8月に開かれる共和党全国大会に、ロム二ー陣営は7人、サントラム候補は6人の代議員を送り込む。

 (共和党は今回、4月1日までに行われる州ごとの予備選において「Winner-takes-all」方式を導入しないことを決めた。同方式は、州ごとに割り当てられた代議員を、1位になった候補がすべて獲得するもの。アイオワ州は、候補者の得票数に応じて代議員を割り振ったため、2位のサントラム候補も6人の代議員を確保した)

 両候補は代議員に加えて“副産物”も得た。全米のメディアが「ロム二ー勝利」「サントラム善戦」と大騒ぎしたため知名度が上がった。選挙資金集めも若干楽になる。

背水の陣で臨んだロム二ーと「ドブ板選挙運動」に徹したサントラム

 ロム二ー候補の勝因は3つある。1つは、強力な選挙組織を作り上げたこと。2008年のアイオワ州党員集会でトップになったマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事陣営で働いた選挙プロを雇い入れ、。第2は、集めた潤沢な選挙資金を湯水の如く使ってテレビやラジオのスポット広告を頻繁に流したこと。そして3つ目は、ライバル視するニュート・ギングリッチ候補(元下院議員)に照準を合わせたネガティブ・キャンペーンを投票日の1週間前から連日のように流したことだ。

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「ロムニーの前途に立ちはだかる南部宗教州」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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