• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「恵みの雨」が子どもの命を奪う

低体温、肺炎、感染症が急増する避難民キャンプ

2012年1月19日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 2011年10月頃から大旱魃のアフリカの角地帯に雨が降り始めた。60年で最悪といわれる旱魃地帯にとっては「恵みの雨」と思われた。

 ところが結果的に、この雨が別の形で、子どもの命を奪うことになった。

段ボールやビニールをかけただけの住まい

 その理由の一つは、低体温と肺炎である。重度栄養不良では代謝機能が低下し、体温をうまく維持することができなくなる。骨と皮だけになった子どもの手足は驚くほどに冷たい。体温を測ってみると35℃以下ということもある。

 遊牧民の住居はアッカルとよばれ、とても簡素なもの(写真)。木の枝でドーム状の枠を作り、その上に木の葉や布、時に段ボールやビニールなどをかけただけである。飢饉と内戦で自分の村を捨ててきた避難民の中には、直射日光や雨風をしのぐ布や段ボールさえなかったり、あったとしても、短時間に集中的に降る土砂降りの雨と風に耐えられないアッカルも多い。 

 雨季の沙漠の夜は冷え込む。雨に曝された栄養不良の子どもの体温は、気化熱で奪われてさらに下がる。低体温になると、人間の体内で生命維持をしている酵素の働きや細胞へのエネルギー供給などが停止して、意識がなくなり、心停止となる。または、寒さで気管支炎、肺炎を起こして命を落とすこともある。正確な数字は把握できないが、避難民キャンプの聞き取りでは、わずか40日の間に7人の子どもたちを次々に飢えと寒さで亡くした親もいる。

 二つ目の理由は、衛生状態の悪化。遊牧民にはトイレを使ったことのない人が多いが、避難民キャンプでは人口が過密化し、様々な感染症が排泄物から拡がる危険性がある。雨季には水が汚染され、糞便が溢れ、このリスクは益々高まる。モガディシュでは、雨で避難民キャンプが水浸し、泥だらけになっても、さらに避難する場所がなく、やむなくその中で生活している人も多い。その結果、これまではコレラを含む急性水様性下痢症の患者数は減少傾向にあったが、雨季になってまた増加しはじめてしまった。

 三つ目の理由は、雨季にだけ流れる川や水溜りができることで繁殖した蚊。これによって流行するマラリアという病気である。これについてはまた後日詳細に説明する。

 四つ目の理由は、増水した川、また泥濘(ぬかるみ)によって道路が遮断され、陸路で必要な援助物資を運べないこと。ユニセフはソマリア各地に大量に医薬品、治療・補助栄養食品、水、衛生キットなどを送り込んでいるが、道路はほとんど舗装されておらず、雨季にだけ流れる川が道路を横断しているため、トラックが身動きできなくなるのだ。

コメント0

「終わりなき戦い」のバックナンバー

一覧

「「恵みの雨」が子どもの命を奪う」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長