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総統選に見る台湾女性の強さ

いざというとき逃げず堂々と立ち向かう

2012年1月18日(水)

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 台湾の2012年総統選挙が1月14日おわった。80万票差の689万票(得票率51.6%)で馬英九総統の再任がきまった。私は台北でこの選挙を見届けた。

 その夜、敗北した蔡英文氏は選挙総本部のある新北市板橋のスタジアムに集まる数十万人の支援者を前に、力及ばなかったことを詫びた。この季節特有のしのつく雨の中、ぬれそぼった支援者たちはみんな泣いていた。

 しかし彼女は顔をまっすぐあげて、最後の演説で主席を引責辞任すると発表した。支援者たちから地鳴りのように「留下来!留下来!(留任してくれ)」と叫び声が上がった。それを抑えるようにこう続けた。

 「つらかったら泣いてもいい。でも、落ち込まないで。悲しんでもいい。でも、あきらめないで。なぜなら、明日は起きて、これまでの4年間と同じように勇敢に、希望をもっていかなくてはいけないから。なぜなら、私たちは勇敢に国家の責任を背負っていかなくてはならないから。希望をもって台湾のためにこの地を切り開いていかなくてはならないから。私たちはどんな立場にあっても、この国家が私たちを必要とし続けてくれるかぎり、台湾を愛し、台湾を守るのです。台湾の人々よ、いつかまた、私たちは帰ってきます。あきらめないから。2012年のこの日、民進党を、蔡英文を支持したことに、誇りをもってください。私たちは頭をあげて、勇敢に歩み続けますから。みんなありがとう、私の心は永遠に台湾の人々とともにある!」

 日本の選挙で、敗北の政治家がこれほどの演説を行えるだろうか。何十万の支持者が雨の中をぬれねずみになって敗北した政治家を待ち、その戦いを称えるなんて、ありえるだろうか。そう思いながら、聞いていた。台湾初の女性総統はついに誕生しなかったが、彼女は稀代の女性政治家であったと思う。今回は、総統選挙を概観しながら、蔡英文氏、その人について語りたい。

総統選で最低の投票率、得票数の差に

 今回、台湾の有権者は1809万人だった。しかし投票率は昼間は天気に恵まれたにも関わらず、74.38%と過去の総統選で最低だった。中央選管は朝の段階で投票率8割を超えると予想していたにもかかわらず、だ。

 投票率の低さの原因はいくつかある。一つは、春節(旧正月、2012年1月23日)の1週間以上前という微妙な時期の投票日だ。この日程だと、不在投票権のない台湾では、遠方の出稼ぎ者が休みをとって投票のために帰郷するというのが難しくなる。工場労働者ならば、春節前の納入を求められるので、とても休みを取らせてもらえる状況にはない。一般に、出稼ぎ労働者は南部出身者が多く、南部は民進党支持者の多い地域だ。この選挙日程を決めたのは現国民党政権だがその狙いは、言うまでもないだろう。

 もう一つは、従来の総統選に比べれば、盛り上がりに欠ける選挙戦だった。従来、台湾の選挙は日本人が想像もできないほどの熱狂を伴うものだが、私の実感としても、過去に取材した2度の総統選と比べると大人しい選挙だった。私は12日未明に香港経由で台北に入ったが、台北市は街宣車も少なく、選挙前々日の盛り上がりは感じられなかった。とある広告代理店にきけば、選挙関連広告収入は往年の10分の1ほどだとか。

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「総統選に見る台湾女性の強さ」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士