前回の本コラムで、多くの日本企業はグローバル展開を加速しようとしているが、人材の確保が追いついていないこと。その一方で、中国やASEANで業績を伸ばしている日本企業の現地法人は、現地の社員が要職を占めていることを書いた。重要なポストを与えられた社員はモチベーションが向上し、より積極的に仕事に没頭して業績向上につながっているというわけだ。
今回は、中国において現地の優秀な人材をどう育成していけばいいのか、ケースを基にそのポイントを提示する。2010年度に黒字化を実現した野村総合研究所(NRI)の上海法人では、時間をかけて社員の人事評価を実施し、優秀な中国人が十分に納得がいくように丁寧に説明している。独自の研修プログラムを作り、現地のニーズに対応している。
「どういう人が評価されるのか」「何で評価されるのか」「何をすれば給料が上がるのか」、明確に示すことが、中国人コンサルタントの育成につながっていく。「言わなくても分かるよね」では、許されない。
「優秀な大卒はなかなか残らない」
野村総合研究所(NRI)の上海法人の皿田尚総経理は、こう語る。一般に、中国のエリート大学出身者は、「3年経ったら辞める」という。だからNRI上海は、高い流動性を前提のうえで採用計画を策定している。

リテンションプラン(残ってもらうための施策)は、給与と待遇面の両方を考慮して策定する。それでも、退職してしまう。もっとも、中国エリート大学出身者のマーケットが確実に存在しているので、当然ながら、彼らを採用できるチャンスでもあるというわけだ。
NRI上海は約70人のコンサルタントを抱えるコンサルティング会社。これまで中国のエリート大学新卒者を採用した人数は累積で十数人。そのうち7割は残っている。
社内に残ってもらうためには教育が大事だと、皿田総経理は言う。コンサルティングは、職人的な仕事だけに、一人前になるのは結構、難しいという。経営を語るのは、すぐにはできないからだ。顧客企業の経営者と対等に話すなかで、日々経営の勘所をつかんでいく。
外資系企業よりも早く、若いうちから顧客企業に出す
NRI上海では、ほかの外資系コンサルティング会社より比較的早い段階で、若手社員を顧客企業に出している。ちなみに、日本国内でもそうしており、定着率の高さにつながっているという。若いうちから任されるのいで、励みになるというわけだ。
実際、顧客のところに行くと、会社の先輩が怒られるシーンを目撃する。だから、「コンサルティングは、なかなか大変な仕事である」ことが認識されるという。若手社員は「いまの自分ではダメかな」と思ってしまう。
NRIでは、ほかの外資系コンサルティング会社と違って、入社1年、2年で顧客に対してプレゼンをさせるし、ヒアリングをさせる。そのときにいろいろな発見があり、仕事の楽しさを知るという。
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