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飼料高から、農家が牛を餓死させた

「牛」価格は暴落するのに「牛肉」は高くなるばかり

2012年1月25日(水)

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 旧正月を前に、デパートや大手スーパー、コンビニがギフトセットコーナーを設けている。韓国にもお歳暮を贈る習慣がある。お正月前の贈り物として人気なのはやはり食品だ。牛カルビ、牛テール(しっぽや牛の骨を24時間以上煮込んでスープにする)、りんご、干し魚、のりなど、世代に関係なく喜ばれるものを贈り合う。

 お正月には法事もあるので、できるだけ韓国産の高級食材を買う。韓国の牛は「ハンウ(韓牛)」と呼ばれ、輸入牛よりも高級な肉として高く売られている。食堂でも、輸入牛のカルビに比べて、韓牛のカルビは2倍以上高い値段がついている。日本で、輸入牛より和牛の方が高くておいしいのと同じだ。

 韓牛の値段は毎年どんどん値上がりしている。コットゥンシム――花のようにきれいなマーブルがあるという意味――と呼ばれるRib Eye Roll は、食堂で食べると1人前150グラムで5万ウォン(約3500円)ほどする。自治体が主催するイベントにソウル市内の農協が参加して「韓牛を安く買える特売イベント」を行うと、毎回2~3万人の人が集まるほど人気が高い。

 ところが2012年1月4日、衝撃的なニュースが流れた。全羅道のある農場で農場主が牛9頭を餓死させたというのだ。10日には同じ農場で牛4頭がまた餓死した。この農場では2011年12月にも牛が十数頭餓死しているという内容だった。飼料は値上がりしているのに牛の値段が安すぎてもう飼えない、という理由で餓死させたという。中央省庁の農林水産食品部はこの農家を「動物保護法違反」で取り調べ、過怠料を賦課すると発表した。

 これに対して韓牛畜産団体は「牛の餓死は虐待ではなく仕方ないことだった」「政府が牛の需要予測、価格統制に失敗したせいで起きた惨事」「牛を飼う農場は、人が死ぬか牛が死ぬかの切羽詰まった状況に置かれている」と反発している。

 動物保護団体が農場に行って調査したところ、農場主は30年にわたって150頭以上もの牛を飼っていた。国際穀物価格の上昇に伴って飼料が値上がりし続けたため、畑を売り、老後のための保険まで解約して対応した。しかし、借金は増える一方で1億5000万ウォン(約1050万円)にまで増えたという。牛を売ろうとしても、価格が暴落していて、飼料より牛の価格の方が安かった。結局、牛に水しかあげられず、牛は次々に餓死した。

牛の卸値は半値に、飼料価格は2倍に

 主婦の1人として、一体何が起こっているのか、驚かずにはいられなかった。スーパーやデパート、食堂で売られている牛肉の値段は値上がり続けているのだ。産地では牛の値段が安すぎて餓死させるしかないなんて、まったく知らなかった。

 韓国消費者連盟が公正取引委員会の支援を受けて、2012年1月、全国641カ所のデパートと食堂の牛肉価格を調べた。この結果、牛肉の消費者価格は値上がり続けていることが分かった。韓牛の中で最も高価な1++等級の牛肉の場合、2012年1月の卸売価格は、2010年10月に比べて22.7%下落した。

 いっぽう消費者価格を調べると、デパートは3%、大手スーパーは12%も値上げしていた。1++等級韓牛100グラム当たり値段は、デパートが1万1738ウォン(約840円)、大手スーパーが8047ウォン(約560円)、市場の精肉店が6873ウォン(約481円)だった。

 韓牛価格に占める小売流通業者のマージンは、2009年には37.5%だったものが2011年には42.3%にまで上昇していることも分かった。デパート側は「肉の管理や包装、加工の仕方によって味も栄養も異なる。その努力をするためには、人件費や運営費を考えると、値上げするしかない」と主張していた。しかし、この調査結果が発表されて以降、「ロッテ、現代、新世界、EMART、Homeplusといったデパートと大手スーパーが流通マージンを取りすぎている」との非難がネットのニュースコメント欄に集中している。

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「飼料高から、農家が牛を餓死させた」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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