中国の作家であり、敬虔なキリスト教信者として知られる余傑氏が今年1月11日に一家3人で、米国に亡命した。そのことを私は報道で知った。彼が今年早々に米国に亡命予定であるというのは去年秋ごろ、人づてに聞いていた。「公安から激しい暴行にあい、半死半生の目にあった。そのあと、公安側と長い交渉の末、渡米して二度と戻らないこと、それまでは一切外国人と接触しないことで合意した」というものだった。
「公安の監視がついているけど、おいでよ」
私は彼には何度かインタビューをしたことがある。彼は作家デビュー当時から「敏感作家」として当局のブラックリストに載っていたが、結構気さくな人で、電話を掛けると、軟禁中でも「公安の監視がついているけど、おいでよ」などと冗談っぽく言ったものだ。外国メディアや外国人が注目しているということをアピールすることで、多少は彼の身の安全に役立つと思って、特に原稿に書く予定もないのに訪ねていったりした。
彼に最後に会ったのは、2010年に『中国影帝温家宝』(ハリウッドスター温家宝)を香港で出版した直後だった。「いっそ米国に移住した方がいいのでは?」と聞いたが、「そのときは、中国を離れては中国に関するものを書けない。それでは説得力がない」と話していた。「僕はただの作家で、運動家じゃないから、そんなに危険な目にはあわないよ」とも言っていた。それ以来、1年以上会っていなかった。だから、彼が拷問を受けたと聞いて、肝が冷えた。
報道で彼の出国が確認されたと知った時は本当にほっとしたが、そのあと、彼が1月18日にワシントンDCで記者会見を行い、発表した声明文を見て絶句した。そこには公安から受けた暴行の詳細が記されていた。文字通り、殺されるところだったのだ。
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大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『







