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中国版Twitter『微博』が開く中国民主化の扉

共産党政権は『微博』を通じた不満の拡大を恐れている

2012年2月2日(木)

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 前回は中国版Twitter(微博:ウェイボー)の具体的活用法を取り上げた。「国際社会における発信力」が、政府、企業、個人を問わず、今を生きる日本人一人ひとりに求められる基本的能力となって久しい。中国市場で勝負しようとする方々は、ウェイボーをぜひ最大限に活用していただきたい。

 さて、『脱中国論』も終盤戦に近づいてきた。ビジネス編を進めているが、今回は、中国の政治・経済構造に深く関わるテーマを型破りに取り上げたい。本連載における最後の「お堅い」回になる。

 ウェイボーを取り上げる中で、中国の行方に関心のある読者から「ウェイボーで中国はどう変わるのか?」「ウェイボーは中国における民主化革命の原動力になるのか?」「中国の人たちはウェイボー上でどのような議論をしているのか?」という質問をいただいた。

 その中に、こんな直接的、かつ具体的な質問があった。「加藤さんはしばしばインターネット人口5億人、ウェイボー人口3億人を『モノ言う民衆』と位置づけ、その力の拡大が、中国共産党統治への脅威となっていると強調している。それはすなわち、ウェイボーが中国の民主化を促すということなのか?」。

微博は中国人民が政府批判・社会批判できる唯一の場

 単刀直入に申し上げよう。

 筆者から見て、ウェイボーは中国社会において「政治課題」と化している。既に、単なるIT、ビジネス、経済などという範疇を越えている。ウェイボーは中国社会の世論環境、中国人のコミュニケーションの在り方を根本から変えてしまった。

 前々回でも言及した通り、「被統治者である中国人民が、ウェイボーを通じて、統治者である中国共産党にモノを言い始めた」のである。

 物価高、不動産バブル、収入格差、欠陥だらけの社会保障など困難が積み重なる中で、中国人民が抱く現状に対する不満と将来に対する不安がかつてないほど高まっている。

 速すぎる成長に戸惑う人民たちにとって、ストレス発散の空間はウェイボー以外にあり得ない。ウェイボー上だけが、中国人民が不特定多数の他者とつながり、ネットワーキングを通じて「心の声」を外に対して発散できる舞台なのである。民主主義・資本主義社会とは異なり、いまだ共産党の一党独裁という社会主義体制を堅持する中国は、デモや集会を政治的に禁止し、自己表現の空間を制限している。

 読者の皆さんは「じゃあ、あの日本を標的にした反日デモは何なんだ?」と疑問を持たれるかもしれない。「中国人民の反日感情を、現実以上に激しいものと日本人は捉えている。注意が必要だ」と呼びかけてきた筆者から見ても、「反日」は、デモが許される特別な引き金だ。中国共産党は「抗日戦争の中で軍国主義者である日本を打倒した」ことをもって、独裁統治を正当化している。従って、中国人民が「反日」的な行為を犯すことにあからさまには反対ができない。「反日無罪」と称されるゆえんである。一般的には許されないデモや集会も、「反日」が理由なら許されてしまう。

コメント3件コメント/レビュー

内容的には、遠藤誉先生の「網民」論がまた裏付けられた、という結論ですね。しかし、中国人民の経済的繁栄が返って政治については奥歯にものが詰まったような物言いを助長しているのはやはり残念なことです。(2012/02/02)

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「中国版Twitter『微博』が開く中国民主化の扉」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

内容的には、遠藤誉先生の「網民」論がまた裏付けられた、という結論ですね。しかし、中国人民の経済的繁栄が返って政治については奥歯にものが詰まったような物言いを助長しているのはやはり残念なことです。(2012/02/02)

>単なる暴力では抑圧できなくなりつつある。本土ではそうかもしれませんが、植民地では余裕で抑圧してませんか?>ウェイボーを失った時、中国人民は暴れ出すかもしれない。Twitterと二つとも無ければ「大規模な反政府集会デモに発展する」前に、呼びかけている間に、潰されませんか?天安門の頃より「警察国家」なのですから。>ユーモアに富む習近平氏は、これまでよりリベラルで柔軟な政権運営甘過ぎませんか?スターリンが子供を抱っこして「優しいおじちゃん」をPRしてましたね。>民主主義、法治主義、報道・言論の自由、市場経済が必要市場経済以外は共産党の居場所が無くなることを意味します。そんなことを当の共産党がすると?第2のソ連を望むと?>パワーバランスが5対5・・・民主化への道が開く逆に言えば党は5対5にならないようにするでしょう。軍にさせられるとも。「主体的に規制緩和し、民主化を促」して党を無くすより、暴力的に体制を維持して延命を図りませんか?>彼らはもちろん民主化について考えている。1党独裁の元で、ですよね。>(1)時間未来永劫?>(2)平和、(3)友人自国の主張を全て受け入れてくれる環境を望んでいるようですが、それは超大国になることか、友好的な行動でしか得られません。どっちを目指しているでしょうか?>民主化への道は遠く、長く、様々な内的・外的条件がそろう必要があるつまり、しない言い訳は幾らでもあると。> 国家の政治、経済、未来に深い関心を持つ、筆者と同年代の若者にも、民主化の推進を語る者はほとんどいないあれっ?前ページに「ウェイボー上で政治の自由や経済政策などお堅いテーマを積極的、かつ広範に議論」とありましたが、そうしますと自由や金は欲しいけど民主化は要らないということになりませんか?>真のチャイナリスクそうなる前に対外的な暴発もですね。>筆者は楽観視していない至極当然のことと。(2012/02/02)

人民は本当に民主を望んでいるだろうか?否。人民の望んでいるものは安定的で平和、且つ文明的な生活が恒久的に続くことである。アラブもロシアも基本的には同様。政体のあり方は望んでいない。中国が仮に民主化しても、安定までにかなりの年月を要するはずだ。なぜなら教育システム(内容)に問題があるためだ。しかしながら教育システムが改善され、「良き隣人」が生まれることを望んでいる。(2012/02/02)

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