「オバマ再選の行方」

やっと本格化する「ロムニー対オバマ」の構図

フロリダでの勝利と接戦12州の行方

バックナンバー

2012年2月3日(金)

1/3ページ

印刷ページ

保守穏健派ロムニー、磐石の構えでギングリッチを突き放す

 非難合戦と巨額のカネを投じた宣伝合戦の末、米共和党保守穏健派のミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が南東部フロリダ州で保守強硬派のニュート・ギングリッチ元下院議長を破った。これで戦績は2勝。フロリダの代議員50人をすべて獲得し、合計69人となった。ロムニー候補は、名実ともに共和党「本命候補」の座を固め始めた。

 次は2月4日。モルモン教徒が州民の26%を占めるネバダ州党員集会だ。モルモン教徒のロムニー候補が一気にギアアップしそうだ。

 これまで共和党指名争いの混戦を横目で見ていたオバマ大統領も、1月24日に行った「一般教書」演説を第一声として本格的な選挙運動に入った。

 1月30日にはグーグルが主催する「オンライン対話集会」に出席。失業している市民に真剣に仕事口を周旋するなど、オバマ流の草の根作戦を開始した。大統領選の最大のテーマは雇用問題だ。オバマ大統領のこの動きは、ロムニー候補がこの一点に絞ってオバマ批判を繰り広げていることに対するしたたかな反撃のジャブとも言える。

ロムニー、直前の世論調査を上回る圧勝でギングリッチに「報復」

 ロムニー陣営は2011年から、全身全霊を投入してフロリダ州予備選に備えてきた。全州を網羅する強力な選挙運動組織を構築した。さらに、従来の政治活動委員会(PAC)に加えて、スーパーPACが450万ドルを費やしてテレビ・ラジオ・インターネット広告を実施した。

 劣勢が伝えられたギングリッチ陣営は、これを上回る600万ドルを投入。広告料は両陣営合わせて1050万ドルに上り「史上空前」(ロイター通信、1/24/2012)となった。そして、その大半がネガティブ・キャンペーンに使われた(“Romney, Gingrich groups spend $10 million more in Florida,” Reuters, 1/24/2012)。

 フロリダ州では、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領や同州のリック・スコット知事をはじめとする共和党保守本流がロムニー候補を支援した。ジョブ・ブッシュ元同州知事(ジョージ・W・ブッシュ前大統領の実弟)やマルコ・ルビオ上院議員といった同州の実力者たちが「中立」を貫いたこともあって、ロムニー候補は共和党の体制派を完全に掌握する形となった。

 さらにサウスカロライナ州における敗因の1つとなったエバンジェリカルズの「反モルモン教」の動きも、フロリダ州ではギングリッチ候補支持で一本化することはなかった。草の根保守「ティーパーティ」(茶会)も求心力を失い、ギングリッチ支持をめぐって分裂した。その分、ロムニー候補は楽な戦いとなった(“January 26, 2012 - Romney Stronger Against Obama Than Gingrich, Quinnipiac University Poll Finds; President Closes Gap In Florida,” Quinnipiac University, 1/26/2012)。

フロリダ州予備選投票結果(開票95%)
※代議員数50人
候補者 得票数 得票率
ミット・ロム二ー 775,023票 47%
ニュート・ギングリッチ 553,097票 33%
リック・サントラム 222,790票 13%
ロン・ポール 117,100票 7%

(www.cnn.com)

フロリダ州のキーワードは「Electability」だった

 フロリダ州は人口1900万人、全米第4位の大州だ。南部であると同時に大西洋とメキシコ湾に面する海洋州でもある。歴史的にも欧州やカリブ諸国との交流が盛ん。敵国キューバは目と鼻の先にある。外交関係にも敏感だ。

 人口の58%は白人、23%はヒスパニック系(中南米系)、黒人は17%。人口の19%はスペイン語を話す。61%が自称保守派。39%がエバンジェリカルズ。最大の関心事は失業率が10.6%に達する雇用問題だ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

高濱 賛(たかはま・たとう)

高濱 賛=在米ジャーナリスト。米パシフィック・リサーチ・インスティテュート所長。元読売新聞ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1998年から同上級研究員。「中曽根外政論」「アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争」など著書多数。



このコラムについて

オバマ再選の行方

2012年、日本を取り囲む国々のトップが代わる可能性がある――米国、中国、ロシア、韓国。
どの国よりも日本に影響を与えるのが、米大統領選の動向だ。

歴史を振り返ると、多くの米大統領が2期を務めている。
しかし、オバマ大統領は再選を果たせるのか?

同大統領は、医療保険制度の改革という公約を果たした。
しかし、これに覆そうとする共和党が議会下院で過半数を握る。
同大統領は、アフガニスタンからの2011年7月からの撤退開始も、公約通りに宣言した。
しかし、アフガン情勢は不安定で、撤退がスケジュール通りに実行できる保証はない。
経済再生を優先するために抱えた巨額の赤字は、批判の的になっている。

果たしてオバマ大統領は再選できるのか?
2012年大統領選にかかわる出来事をタイムリーに取り上げ、解説する。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン