『脱中国論』も残すところあと4回となった。限られた時間とページ数のなかで何を語ったらよいのか、悩みに悩んだ。筆者はテクニカルな問題を要領よく考え、分かりやすく伝えるのが苦手だし、あまり好きではない。それよりも、比較的マクロで大きな課題を、自らの体験を通じて考察し、発信していくのが好きだ。
これからの4回は、基本に立ち返って、以下の4つのテーマを、読者の皆さんと「今一度考える」作業をしたい。チャイナリスク、中国共産党との付き合い方、中国ビジネスにおける「留学」の必要性と意義、中国人との付き合い方だ。この4つは中国人と付き合う際に、中国社会を理解しようとする際に、そして中国でビジネスをする際に、おそらく死活的に重要である。最後までお付き合いいただければ幸いである。
第1回目である今回のテーマは「チャイナリスク」だ。
筆者が見るところ、私たち日本人が直面するチャイナリスクは大きく分けて3つある。1)中国の体制崩壊リスク、2)日本に特有のリスク、3)誤認リスクだ。
1つずつ見ていこう。
1)はいわゆる「中国崩壊論」である。速すぎる経済成長。成長が輸出と公共投資に頼りすぎていて、内需が伸びないゆがんだ経済構造。格差。福祉の欠如など、増殖する社会不安。非民主的な政治体制。はびこる共産党員(約8000万人)――為政者に対して苛立つ人民。これらの不安要素が相互に影響しあい、「中国社会はいずれ崩壊するんじゃないか」という感情を煽る。
さらに、中国社会には言論・情報統制が効いており、真実を知るための情報やデータがなかなか出てこない。仮に出てきたとしても、共産党政権による検閲を経た産物だけに、どうしても「にわかには信じられない」という感覚に陥ってしまう。
現場に足を突っ込んでウォッチしてきた筆者から見ても、中国という巨人はいまだ不透明で、何が真実で、何が虚構なのかよく分からない。
中国の体制は崩壊するか?
「崩壊」をめぐる3つの問題を考えてみよう。
第1に、「中国が崩壊する」とは、何を指すのだろうか。ここでは、前回コラムにおける一節を引いて、以下のように定義したい。
「民衆が暴力による政権転覆に走って、社会全体がカオス化し、無力化すること」
共産党政権が定める原理原則(共産党の利益に貢献するものは政策的に歓迎し、そうでないものは暴力的に排除するというルール)によって運営されている中国社会において、8000万人から成り、中央集権的な共産党による統治が機能しなくなることを意味する。
第2に、中国が崩壊した――共産党政権が機能しなくなった――場合、その先に何が待っているのか。
筆者にも分からない。中国の国家リーダーにも、世界最強のインテリジェンス集団にも分からないだろう。歴史を振り返れば、その先に待っているのは「群雄割拠による内戦」と言えるかもしれない。だが、時代が異なるだけに何とも判断しかねる。
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