「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」

加藤嘉一版、中国留学のススメ

思いもよらなかった中国の真の姿を知る

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2012年2月23日(木)

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 『脱中国論』も残り2回となった。今回は「中国ビジネスにおける『留学』の必要性と意義」について改めて考えてみる。筆者が考える留学の意義、そして、留学中にすべきことを、余すことなく書き綴ってみたい。

 筆者は留学経験者だ。2003〜2010年の7年間を北京大学で過ごした。同大学国際関係学院にて学部課程と修士課程を収めた。

 この間、中国政府奨学金を受けることができ、学費、寮費、そして生活費を頂いた。この奨学金は日本の文部科学省と中国の教育部が協定して実施するプログラムである。苦学生だった筆者にとって、とても有難いものだった。この場をお借りして、心から感謝を申し上げたい。これがなければ、これまで走り続けてきた軌跡は誕生し得なかった。このご恩は、日中両国、アジア、そして世界の平和と繁栄のために、生涯をかけて献身し続けることで返していく、とここに誓いたい。

 留学期間中から今に至るまで、国境を越えて様々な方々にお世話になってきた。今後とも、忌憚なきご指導・ご鞭撻を頂けるよう、お願い申し上げたい。

チャイナイデオロギーに洗脳されないだろうか?

 何者でもない、何も持たない、何も知らない筆者が北京大学に留学して遭遇した出来事は、事前には全く予想のつかないものだった。

 18歳だった当時。北京へと向かう中国東方航空の機内で筆者が脳裏に描いたイメージは以下のような情景だった。

 「英語は一生懸命勉強してきた。英語のレベルを落とさずに、中国語をきっちりやる。国際的ネットワークをつくりながら、中国か米国で修士号を取得する。その後、国際公務員として国際連合で働こう。普通に努力すればいけるはずだ」

 この目標を達成するうえで、想定された不安要素は以下のようなものだった。

 「中国語はおそらく問題ない。数年もいればネイティブに近いレベルになることができるだろう。中国社会の理解や人脈づくりも、普通に努力すればイメージ通りに進むはずだ。問題は、英語力を維持することと、国際的視野を育むことだ。何と言っても共産主義社会の中国だ。イデオロギーに洗脳されないだろうか。英語を使う機会はあるだろうか。中国語・チャイナイデオロギーと英語・国際視野の間で、どうバランスを取るか。おそらくこの点が勝負の本質だ。気合入れていこう」

北京大学はインテリジェンスと多様性に満ちていた

 しかし、ふたを開けてみて拍子抜けした。予想が見事に外れ、困惑することになった。気合を入れすぎて殺気に満ちた筆者を待ち受けていたのは、共産党のイデオロギーや毛沢東思想で赤く染まったレッド・チャイナではなく、世界100カ国以上から留学生が集まり、色とりどりの価値が共存する環境だった。外国人留学生と中国人学生との交流も盛んだった。それぞれの言語を相互に教え合い、学び合う「Language Exchange」は屋内外、昼夜問わず、日常的に至る所で行われていた。

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著者プロフィール

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

北京大学国際関係学院大学院修士課程修了、現研究員。復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。
1984年静岡県生まれ。
2003年高校卒業後、国費留学生として北京大学留学。
専門は東アジアの国際関係、日米中関係、中国政治・経済、朝鮮半島など。
英フィナンシャルタイムズ中国語版、The Nikkei Asian Reviewコラムニスト。
香港フェニックステレビ、中国中央電子台(CCTV)などでコメンテーター を務める。 

加藤嘉一氏のオフィシャルサイト



このコラムについて

加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ

 得体の知れない巨人−−中国といかに付き合うか。21世紀の最初の50年における国際社会共通の課題です。世界が直面している最大のリスクを、どれだけのコストをかけて管理していくか? 日本を含めた各国にとって念入りな準備が必要なことは言うまでもありません。

 2010年は象徴的な年でした。

 これまで、2008年―2010年の間、中国共産党は国威発揚としての北京五輪、中華人民共和国の発足60周年記念軍事パレード、上海万博、広州アジア大会を無事「成功」させました。

 しかし中国の知識人たちは2010年を「外交大失敗の年」と定義しました。南シナ海におけるASEAN諸国との領土紛争や、尖閣諸島沖での漁船衝突問題では、その強硬姿勢が関係国の懸念を引き起こし、“中国異質論”を助長することになったからです。

 一方、国内問題も山積しています。格差や腐敗。就職難に苦しむ若者。低賃金労働に怒りを露にする農村からの出稼ぎ労働者。4.5億を越えたインターネット利用者。など不安要素が噴出している。排他的なナショナリズムが台頭し、共産党のガバナンス力は低下している。そんな中、5年ぶりに勃発したのが反日デモです。

 巨人はどこへ向かうのか? 中国社会の地盤沈下はどこで起き、何を誘発するのか? リスクをどう認識し、いかに対応するか? 中国の台頭を国内の繁栄と安全にどう生かすか? これらの問題は日本人にとって他人人事ではありません。中国の問題を「内政問題」として向き合わねばならない時代に突入したのです。引っ越しはできないのですから。

 本コラムでは、これから、そんな現代中国を読み解くための「56のテーゼ」を読者の皆様と考えていきたいと思います。活発な議論を通じて、我らがニッポンの対中観を充実させていきましょう!

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