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高速鉄道建設は特権階級の蓄財の方便か

供給業者リストが暴いた納入業者の暴利

2012年3月2日(金)

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 2011年7月23日の夜8時30分頃、浙江省温州市で発生した“高速鉄道”(略称:“高鉄”)の衝突脱線事故は、死者40人、重軽傷者192人を出す中国鉄道史上に残る大惨事であった。この事故を中国では発生した路線“甬台温鉄路”<注1>にちなんで“2011年甬台温鉄路列車追尾事故(“追尾”=「追突」)”と呼ぶ。この事故の発生は中国政府“鉄道部”の主張する「中国の独自技術」による中国版新幹線の安全神話を根底から覆した。この結果、国民の厳しい批判にさらされた鉄道部は2カ月間にわたる全国鉄道網の安全点検の実施を余儀なくされた。

<注1>“甬台温鉄路”とは“甬(寧波)”、“台(台州)”、“温(温州)”を結ぶ路線。

 この事故は落雷による信号機の故障と運行指令の混乱により本来後続のはずのD3115列車(杭州駅発の福州南駅行き)に、先行すべきはずのD301列車(北京南駅発の福州駅行き)が追突したものだった。事故を引き起こしたD3115列車およびD301列車に使用されていた車両モデルはそれぞれCRH1およびCRH2であった。両モデルは“中央企業”と呼ばれる中国政府直轄の国有企業の一つである“中国南車集団公司”のグループ企業、“青島四方機車車輌股份有限公司”が製造した。CRH1はカナダのボンバルディア・トランスポーテーションから、CRH2は日本の川崎重工業からの技術供与を受けたものだった。

 その事故から半年が経過した2012年2月、“財新傳媒有限公司(財新メディア有限会社)”が発行する週刊誌「新世紀」の2月20日号は“奢侈動車(贅沢な高速列車)”という特集記事を掲載した。それは同誌の記者がつてをたどって南車集団の「“CRH2型動車組配件供応商名録(CRH2型高速列車附属品供給業者リスト)”」(以下「供給業者リスト」)を入手することに成功し、その内容から驚くべき実態が判明したという告発記事であった。「供給業者リスト」には300種類以上の附属品の整理番号、品名、図面番号、仕様、販売価格および税込販売価格、供給業者名が明記されていたのである。

 「新世紀」の2月20日号が発売されるや、中国のメディアは一斉にこの告発記事の内容を報じ、改めて2011年2月に汚職により失脚した“劉志軍”(鉄道部部長)および“張曙光”(鉄道部運輸局局長、副総工程師)を頂点とする鉄道部の腐敗ぶりを暴き出したのだった。「新世紀」の特集記事の要点を紹介すると次の通りである。

便器ユニット1台に約120万円

 CRH2型に採用されている附属品の価格を市販品の価格と比較して見ると以下の通りである。なお、以下に記載する価格はすべて税込み単価。

【1】洗面所:
 CRH2の購入価格は、自動洗面器:7万2395元(約90万5000円)、人工大理石の洗面台(幅2メートル):2万6096元(約32万6000円)、ペーパーホルダー:1125元(約1万4000円)、これらにその他の品目を加えた洗面所の附属品全体の総額は30万元(約375万円)から40万元(約500万円)となる。ペーパーホルダーは市販品なら数十元(50元とすれば600円前後)で買えるし、外国品でも500元(約6250円)以下で買える。「ハンドドライヤー(手指温風乾燥機)」の購入価格は6845元(約8万6000円)だが、TOTOの高級モデルでも市場の値引き後価格なら1341元(約1万6800円)で買える。押しボタン式の液体石鹸入れの購入価格は4259元(約5万3000円)だが、TOTO製品の市場価格は619元(約7800円)。

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「高速鉄道建設は特権階級の蓄財の方便か」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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