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中国「iPad訴訟」のゆくえ

当局と対等に渡り合うアップル

2012年3月7日(水)

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 中国でアップル社の「iPad」の商標をめぐる争いが佳境に入っている。テレビ・新聞などは、「i-phoneコンロ」など、勝手に有名ブランドの商標を登録して自社製品にリンゴマークをつけている中国製品などを例に中国の商標権侵害状況を面白おかしく紹介しているが、アップルの問題は、中国でよくある「商標ゴロによる権利侵害」問題とはまた別の側面があると言っていいだろう。つまり経済と政治力学のかかわる側面だ。今回は中国の商標権問題について考察してみよう。

予断を許さないアップルと唯冠の商標争い

 たまたま見かけた日本のワイドショー系テレビ番組で、司会者が、中国の企業がiPadを先に発明したのは自分のところだなんて、よくもまあそんなことが言えるものだ、と批判しているのを聞いた。しかし、iPadという商品はアップルのiPadが発売される10年前にほんの一瞬だが存在していたらしい。

 アップルと「iPad」の商標権を争っているのは液晶ディスプレーメーカーとして一時は数十カ国に商品を輸出していた唯冠集団。同社の主張によれば、3000万元(約3億9000万円)をかけて開発し2000年に売りだした閲覧専門のパソコンの商品名が「iPad」だったという。全くヒットせずにすぐさま市場から消えてしまったようだが、発売と同時に唯冠台北が申請人となって、世界各国で「iPad」の商標登録を行った。翌年の2001年、唯冠深圳が申請人となって中国国内で商標を登録したという。

 アップル側が「iPad」の販売計画を立てた2006年、唯冠台北がその商標権を世界8カ国で持っていることを知り、英国で唯冠の商標登録無効を申し立てたが、アップル側もまだ製品販売の実態がないことを理由に棄却された。このため2009年にアップル側は英IP社を通じて、唯冠台北から「iPad」の全世界の商標権を3.5万ポンド(約430万円)で買い取った。唯冠側の言い分ではこの時、商標権の買い取りの目的を英企業名の省略名に使うとしており、「目的を偽った詐欺まがいの買い取り」だったという。早い話が、米大企業アップルの新製品の名称としての商標権買い取りだったら、3.5万ポンドぽっちのはした金では譲らなかった、と言いたいわけだ。

 2010年にアップルがiPadの販売を開始すると、唯冠は中国国内のiPad商標権を登録したのは唯冠深圳であり、唯冠台北が3.5万ポンドでアップルに譲渡した世界の「iPad」商標権に中国国内のものは含まれていないと主張した。アップル側は契約には中国国内の商標権も含まれており、唯冠深圳にも書類を送付していると主張しているが、協議書には唯冠深圳の社印が推されていないようだ。

 2010年、アップル側は、「商標権」の所在確認を申し立てたがこの時の判決は、商標権は唯冠に帰属するというものだった。2011年にふたたび深圳の中級法院に上訴したものの、2012年1月末に出た広東省高級法院の最終判決はやはり商標権は唯冠にあるとされた。

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「中国「iPad訴訟」のゆくえ」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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