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言いたい放題、解決策なしの全人代

政策決定の場は共産党大会だと再確認

2012年3月12日(月)

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 3月3日に全国政治協商会議(政協)、5日に全国人民代表大会(全人代)が相次いで開幕した。どんな会議なのかと聞かれたら、前者は参議院、後者は衆議院のようなもので、ほぼ同時に国会(中国では「両会」、以下同)を開催すると答えている。

 世界第2位の経済大国の政策を決定する国会なので、内外のマスコミで関連報道が急増するなど関心が集まるのは当然のことであろう。5日の早朝、筆者はテレビに出演し、全人代について事前に解説した。

期待外れの所信表明

 オフィスに戻って、10時(日本時間)からパソコンの前に座り、温家宝首相の所信表明演説に当たる「政府活動報告」のネット中継を拝聴した。しかし、しばらくすると、舟をこぎ始めた。いつもより早く起床した反動もあるが、残念ながら、サプライズといえるような内容があまりなかったためである。

 1月31日に開催した国務院第6回全体会議では、全人代で発表する予定の「政府活動報告」の草案に関する議論が交わされた。今年は温内閣が任期満了を迎えるため、「政府活動報告」の作成に対する温家宝首相の意気込みも例年と比べて違う。新華社の報道によると、温家宝首相は、発展方式の転換に新たな進展、改革開放に新たな突破、民生改善に新たな成果をもたらす綱領的施政方針として期待を込めたのだ。

 最近、「改革をしなければ死ぬしかない」など、政治や経済体制の改革を求める温家宝首相の発言が目立っていることを受け、中国国内では、改革の再加速を求める声が急速に高まってきている。

 全人代の開幕直前、世界銀行と国務院発展研究センターが「China 2030」という報告書を公表し、国有企業などの改革を加速しなければ、中国経済の持続的成長が難しいと警鐘を鳴らしたのはその一例である。もっとも、報告書が公表される前に各省庁に意見を求めた際、国有企業を管轄する国有資産管理委員会から猛反対を受け、国有企業改革に関する内容がかなり削除されたと伝えられている。

 だが、2月23日、国務院が戸籍制度の改革に関する通知を打ち出すなど、久々に大型改革措置が登場したことで、鄧小平氏の「南巡講話」を契機に空前の改革ブームが沸き起こった1992年春を彷彿させるような雰囲気であった。そのため、今回の全人代は、「改革国会」になるのではないかと期待していた。

 中国のメディアによると、温家宝首相が「政府活動報告」の中で「改革」という表現を合計70回使用し、改革に対する温家宝首相の決意が並大抵ではないことが伺える。しかし、改めて「政府活動報告」の記録文を読み直したが、期待はずれというのが率直な感想だった。

 例えば、今年の課題について温家宝首相は、「穏増長(安定成長)」「控物価(物価抑制)」「調結構(構造調整)」「恵民生(民生改善)」「抓改革(改革着手)」「促和諧(調和促進)」といった18字方針を掲げた。それぞれの三文字をとってみると、ものすごく重要な政策課題であるのは確かだが、並列すると、どこから手を付ければいいのか、雲をつかむような印象といわざるを得ない。とりわけ、この18字方針の中では、改革がどのような位置づけとなっているのか、「He said many things, but nothing」という表現を持ち出すほかない。

 しかし、これは、温家宝首相のせいにしたら不公平かもしれない。これは「中南海文学」の傑作だ。日本では、「霞が関文学」の担い手は東大法卒が中心とするエリートだと伺っているが、中国では、北京大学をはじめとする一流大学中文系卒の筆桿子(文章が達者な人)たちが「中南海文学」を支えている。どういう形容詞や副詞を使うのか、どういった順序で並べるのか、官僚たちの知恵やテクニックは万国共通かもしれない。

 例えば、先ほどの18字方針は、想定すべき課題を網羅するのみでなく、優先順位や重要性も曖昧にしているのが奥義だ。状況変化に応じて、その並べ方を変えればいいという柔軟性もあるため、成長と改革のどちらが一番重要なのかといった二者択一の考え方は通用しない。また、「政府活動報告」である以上、政治、社会、経済、国防、外交など、すべての分野に言及しなければならないため、内容がどうしても総花的になってしまうのもやむをえない。そのため、最初からサプライズを期待する私のほうが悪かった。

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「言いたい放題、解決策なしの全人代」の著者

肖 敏捷

肖 敏捷(しょう・びんしょう)

エコノミスト

フリーのエコノミストとして原稿執筆や講演会などの活動をしている。テレビ東京の「モーニング・サテライト」のコメンテーターを担当中。2010年の日経ヴェリタス人気エコノミスト・ランキング5位。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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