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 東日本大震災から1年がたった3月11日、中国の記者仲間から、コメントを求められた。日本人は悲しみから立ち直れているか、震災後1年で日本の復興はどのくらい進んだか。個人の感想、考え方を問われたものなので、私も自分の思うところを答えた。

 つまり、震災はまだ終わっていないということ。復興どころか、今も震災は続いている。東京、関東に暮らす人たちにとっては、近い将来に起きるかもしれない首都圏の直下型大地震の心配もある。原発の問題も、放射能の問題も、何ひとつ、安心を担保するような話はなく、がれきの受け入れの問題に象徴されるように、被災地の心配をするより、自分たちの安全ですら不安を感じている状況の人も多いようだ、という話をした。

 私は3月12日に、仙台、石巻、南三陸を訪れてみたのだが、復興、という言葉を使うことすらためらわれるくらい、海辺の被災地ではまだ何も始まっていなかった。津波が襲った土地は、まだ潮水が完全に引いていないところも多く、復興の妨げになっているというがれきの山があちこちに残り、烏の群れがたかっている。

 中国のメディアは、そういう日本の震災1周年をどう報じているのか、紹介してみよう。

日本人の伝統的価値観への回帰があった

 私もコメントを寄せた広東省の週刊紙「時代週報」は、「14時46分 日本は静かに黙祷 3.11大震災1周年」の見出しで、日本が迎えた震災後1年目の様子を仙台で行われた追悼式に参加した東北大学の中国人留学生や現地の遺族からも取材して伝えていた。

 特に強調していたのが、「日本の集団主義の伝統」だ。

 「21世紀に入っても、日本社会の伝統的集団主義は、今回の震災中、およびその後も至るところで目にすることができる。東北3県の各被災地では、感傷に耐える者、茫然とする者、うつ状態にある者、困惑する者はいるが、激烈な感情を爆発させる者はいなかった。地方政府や自衛隊の活動に対しては、日本社会は賞賛を寄せ、とくに自衛隊の働きについては9割が肯定的だった」と説明し、日本人が震災後の厳しい1年ですら、自らの感情をコントロールしてきたことを肯定的に報じた。

 また石巻日日新聞の記者たちが、手書きで新聞を書き続け、新聞の発行を中断しなかったエピソードを紹介して、そのジャーナリズム意識の高さにも感嘆の気持ちを寄せていた。

 広東の週刊誌「南方週刊」は、記者を現地に派遣してまとめたルポを中心に特集を組んだ。被災地でボランティアをしている中国人や上海の学生の慰問団も取材している。


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