ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は、3月中旬に南部諸州で行われた予備選挙で、ライバルのリック・サントラム元上院議員に痛めつけられた。だが、同月20日の中西部大票田、イリノイ州で圧勝。気を良くして4月決戦に入る。予備選の舞台は東部7州と中西部ウィスコンシン州に移る。ロムニー候補は、これまで東部では勝利を重ねてきただけに、サントラム候補を一気に引き離したいところだ。
4月の予備選は、4月3日と24日に山場を迎える。3日は、ウィスコンシン(代議員数42人)、メリーランド(同37人)、ワシントン特別区(同19人)で投票がある。24日はニューヨーク(同95人)、ペンシルベニア(同72人)、コネティカット(同28人)、ロードアイランド(同19人)、デラウェア(同17人)の7州1特別区で予備選が実施される。
争われる代議員数は合計329人。直接選挙のペンシルベニアを除くすべてが予備選だ。直接選挙とは、共和党予備選に登録した有権者が直接、候補者の項目(例えばロム二ーと書かれた)をチェックする方式。ペンシルベニアのほか、イリノイ、ウエストバージニアがこの方式を採用している。他の予備選は、特定の候補者に投票すると宣言した地元の代議員名をチェックする。マサチューセッツが地元の穏健派ロムニー候補にとって、東部は強固な地盤。取りこぼしはなさそうだ。
選挙結果を的確に予想することで定評のあるバージニア大学センター・フォア・ポリティクスのラリー・J・サバト教授は、ロムニー候補の7勝1敗と予想している。着々と代議員数を積み重ねるものとみられる。(“Crystal Ball : Romney Set to Dominate Race Through April," Larry J. Sabato's Crystal Ball,” www.centerforpolitics.orgのChart1)
「1144人」に到達できなければ、党大会は代議員争奪戦に
ところが、ここにきて、共和党内部から「取り越し苦労」とも思える危惧の念が急浮上している。確かにロムニー候補は、これまでの予備選・党員集会で14勝し、獲得代議員数を522人と伸ばしてきた。サントラム候補らを大きく引き離している(執筆時点。イリノイ州の結果は含まず)。
だが、指名獲得に必要なマジックナンバー、1144人にはほど遠い。このままだらだら予備選を続けていては、予備選が終わっても、ロムニー候補は指名に必要な1144人に届かないのではないのか――そんな懸念が共和党内に広がっている。
AP通信社の試算によれば、ロムニー候補は、3月20日以降に行なわれる予備選・党員集会で、代議員数の49%を取らないと1144人には届かない。(“Like It or Not, GOP Girding For Floor Fight,” New York Times, 3/18/2012)
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