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ある共産党若手幹部の死

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2012年4月3日(火)

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区委書記蘇力之死
「新世紀」記者 屈運栩

広東省北部の地方都市で、将来を嘱望された共産党の若手幹部が自殺した。珠江デルタからの企業誘致を進めたが、土地の収用につまずき、精神的に追い込まれた。政府が土地を安く迅速に確保できる時代は終焉。企業側にも自覚が必要だ。

(写真:韶関市武江区のウェブサイトから)

 2月17日未明、広東省北部の地方都市で将来を嘱望された共産党幹部が自らの命を絶った。韶関(シャオクアン)市武江(ウーチャン)区の党委員会書記(*1)だった蘇力(スーリー)は、45歳の若さ。
韶関市政府の公式発表によれば、蘇はナイトガウンの帯を使い自宅のベランダで首を吊ったという。体に外傷はなく、室内にも異常が起きた形跡は見当たらず、遺書が残されていたことから、公安当局は自殺と判断した。

*1=中国では政府よりも共産党が上位にある。区党委書記は区政府のトップ

 蘇は仕事上の深い悩みを抱え、強いプレッシャーにさらされていた。その重みに耐えかね、将来を悲観したことが自殺の動機と見られている。突然の訃報は、彼の出身地である広東省南部の仏山(フォーシャン)市順徳(ジュンデ)区にも直ちに伝わった。

宙に浮いた塗料業界

 これに慌てふためいたのが順徳の塗料業界だ。話は4年前にさかのぼる。2008年、広東省政府は経済発展の遅れた省の東西及び北部に珠江デルタ地域の産業を移転させる「双転移(シュアンチュアンイー)(*2)」戦略を打ち出した。省の共産党委員会は、戦略の推進を担う30人の若手幹部を選抜。蘇はその1人として韶関に派遣され、順徳の塗料メーカー162社を武江区に集団で誘致する合意を取りつけることに成功した。

*2=「産業」と「労働力」の双方を移転させるという意味

 彼の取った手段は、企業を誘致する際に地方政府が用いる典型的なやり方だった。行政主導で大規模な工業団地の建設計画を打ち出し、進出企業に廉価での土地提供など優遇策を約束したのだ。ところが、合意から3年が過ぎた現在も、武江区への塗料メーカーの進出は1社も実現していない。

 背景には、土地利用を巡る上級政府の政策や世論の風向きが大きく変化したことがある。地方政府が農地を強制収用して採算性の低い乱開発を行うケースが相次いだことから、中央政府と省政府は新規の土地収用の認可に慎重になった。また、強制収用に対する民衆の反発が強まり、デモなどのトラブルが頻発している。仮に認可が下りても、土地収用にかかる補償金などのコストが急騰しているのだ。

 蘇が進めていた塗料メーカーの集団誘致も、土地収用の認可がなかなか下りず膠着状態に陥っていた。何とか打開しようと孤軍奮闘していた彼は、結局自殺という形で決着をつけたのだった。このため、順徳の塗料業界は宙に浮いた状態になってしまった。

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牛島 信 弁護士