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失笑を買って終わった北朝鮮の衛星発射の笑えないその後

米国が圧力をかける相手は中国に

2012年4月18日(水)

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 北朝鮮の「衛星発射」が失敗した。本当に衛星発射かどうかは別にして、打ち上げに使われたロケットが「テポドン2改良型」であるからには、ミサイル発射と言い変えた方が、発射の意図が分かりやすいかもしれない。本来ならフィリピン沖に着水する予定だったのが、結局上空150キロメートルほどのところで空中爆発し、その破片は黄海に落ちた。一発700億円がわずか1、2分ほどで海の藻屑と消えた。これだけあれば、中国の無償援助がなくても、北朝鮮の餓えた民を養えただろうに。

 ちなみに、華僑向け通信社・中国新聞が配信した写真から、北朝鮮の衛星発射コントロールルームに設置されたコンピューターは、中国の家電農村普及政策(家電下郷)用のメードイン・チャイナのパソコンであることが判明。このパソコンは中国が内需拡大のため、販売店に税金補助を与え農村に安価に流通させた製品で、低品質で故障も多いことで知られているだけに、衛星発射の失敗は中国製パソコンのせいではないか、という笑い話が中国のインターネットで流れたほどである。

 と、表面上は失笑を買って終わった北朝鮮の衛星発射問題。たが、次に核実験をやるかもしれない、となると国際情勢への影響は笑い話では終わらない。北朝鮮の「衛星発射」計画については、東昌里発射基地が中朝国境にあり、一部報道によれば中国に対しては昨年中に、事前に説明して理解を求めていたと言われている。その上での6億元にのぼる無償援助を決めたのだから、公式の発表では「関心と憂慮」を発表していても、実際に容認だったようにも見える。中国が本気で阻止しようと思えばできたのではないか、と疑ってしまう。中国は、北朝鮮の衛星発射問題、核問題に対し、現在どういう立場でいるのだろう。最近の報道を眺めながら、さぐってみた。

打ち上げ失敗で5年間の猶予ができた

 北朝鮮情勢の分析で定評のある張璉瑰・中央党校戦略研究所教授の意見が上海紙「東方早報」(4月16日)に掲載されていた。タイトルは「米朝がカードを切る時間」。抄訳しよう。

 「朝鮮の(衛星)発射失敗によって、米朝は“カードを切る”タイミングを遅らせるだろう。それが最も重要な影響だ。北朝鮮にとっては金日成生誕100周年に華を添えるはずの衛星発射がこのような結果になって、興醒めになったことは確かだろう。しかし、周辺関係国にしてみれば最大公約数的にはほっとした結果になった」

 「もし、ロケットが空中分解せずに、予定どおり、フィリピン沖に着弾すれば、フィリピンは抗議をし、国際問題になりかねなかった。もし、ロケットの軌道が東にずれて、日米韓に迎撃されるようなことがあれば、北朝鮮は宣戦布告せざるを得ない。もし西にずれて、中国に破片などが落ちることがあれば、中朝関係は急転直下冷え込む。中国政府が黙認しても、国民が大騒ぎするだろう。北朝鮮が発射に成功すれば、米日韓は安保理で対朝制裁の新決議をさらに強硬に通そうとして、東アジア国際情勢は急激に悪化していたはずだ」

 「ロケットが朝鮮領空内で自爆したことで、こういう事態が避けられた。北朝鮮が失敗しても、米日韓は、この問題を安保理で討論するように申し入れるだろうが、新しい制裁決議を通すには理由と動機が不足している。おそらく主席声明どまりだろう。中国も否決権を持ち出す必要もなく、安保理も“和諧”ですむ」

 「むしろ重要なのは、米朝がカードを切る時間を遅らされたことであろう。2011年1月、ゲイツ・米国防長官が訪中し記者に語ったところでは、北朝鮮は5年以内にアラスカ・米国西部沿岸を攻撃できる弾道ミサイルを保持できるだろう。北朝鮮が核兵器とミサイルの研究開発を続けることは米国の安全に対する直接的脅威である、という。この発言の言外の意味は、米国が北朝鮮の核問題について話し合いで解決できる時間的猶予は残り5年、ということである。北朝鮮が米国本土を脅かす能力を持てば、米国は北朝鮮に対し行動を起こす。同年2月、米国戦略司令部は8010-08作戦計画、つまり対北朝鮮軍事計画を打ち出している。この計画の核心的内容は、核兵器および通常兵器で、北朝鮮の大量破壊兵器を攻撃壊滅させるということだ。かりに、北朝鮮の衛星発射が成功すれば、米国は北朝鮮が米国本土攻撃能力を獲得したと認識して、米国もその作戦計画を前倒ししたかもしれない。北朝鮮の失敗は、5年の猶予がまだあるという判断の根拠となった」

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「失笑を買って終わった北朝鮮の衛星発射の笑えないその後」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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