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オランド勝利でさらに長期化するユーロ危機

メルコジの緊縮財政路線に「ノー」

2012年5月8日(火)

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ユーロの将来を左右する2つの選挙

 5月6日、ヨーロッパで2つの重要な選挙が行なわれた。フランスの大統領選挙の決選投票では、フランソワ・オランド氏が当選した。ギリシャ国民議会選挙では、極左政党が得票率を前回の選挙の3倍に増やして躍進。現在連立政権を形成し、EU(欧州連合)が求める緊縮政策を支持している新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は大幅に得票を減らした。両党の得票率は合計で40%に満たないことが判明した。PASOKとNDは、他の政党の支持を得なければ議席の過半数を確保できない。このため、ギリシャ政局の混乱は避けられない状況だ。EUが要求する緊縮政策が実行されるかどうかも、未知数となった。

 ヨーロッパでは、これらの選挙の結果がユーロ危機の行方、EU諸国の公的債務危機との戦いに大きな影響を与えるという見方が有力だ。ドイツのメルケル首相は、ユーロ加盟国に財政規律の強化と緊縮を強く求め、拡張的な財政政策を拒否してきた。フランスとギリシャの有権者はドイツの路線にはっきりと「ノー」の意志を示したことになる。

 今後ドイツに対しては、「財政規律の強化だけではなく、景気刺激と経済成長を重視する政策も取るべきだ」という圧力が高まる。これは一部の国々で、公的債務が再び増加する危険を意味する。また中央銀行の独立性を重視するドイツは、欧州中央銀行が過重債務国を直接支援することを拒否してきた。この姿勢を変更するよう求める声が、ユーロ圏内で高まるだろう。

 だが財政規律や緊縮策は、ギリシャやスペインが経済構造を改革して借金への依存度を減らすために、避けて通ることができない道である。フランスとギリシャの選挙結果は、南ヨーロッパの過重債務国に対する財政健全化のための圧力が弱まることを意味する。そして経済成長を促すための拡張的な財政政策・通貨政策の財源は、新たな借金である。このためドイツでは、今回の選挙結果のために、ユーロ危機との戦いがさらに長引くことになるのではないかという悲観的な見方が浮上している。

 まずフランス大統領選挙の影響について、分析する。

景気刺激策を求めるオランド氏

 オランド氏が次期大統領に決まったことは、ドイツのメルケル首相に複雑な感情を与えているに違いない。サルコジ氏の落選で、彼女はユーロ危機との戦いにおける重要な盟友を失ったからだ。

 サルコジ氏は「メルコジ」というあだ名を付けられるほど、メルケル首相の緊縮路線を強く支持してきた。両国は、ユーロ圏だけでなくEUのリーダー格としてスクラムを組み、南ヨーロッパの過重債務国に節制を強いる政策を次々に実行してきた。だがオランド当選によって、独仏蜜月の時代、特にユーロ危機への対処の方法をめぐる両国の強固な団結に大きな変化が生じることは確実だ。メルケルは、ユーロ圏の中で孤立を深めるだろう。

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「オランド勝利でさらに長期化するユーロ危機」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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