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陳光誠事件の早期解決の裏にあるお家事情

中国当局は出国させたかった?

2012年5月9日(水)

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 すでに各所で詳しく報道されているが、ゴールデンウィークのさなかに中国で大事件が起きた。「一人っ子政策」下で行われていた女性に対する強制堕胎などの問題を調査、告発してきたことで中国当局から不当に投獄され、釈放後も山東省臨沂市の自宅で軟禁、迫害を受けていた盲目の弁護士、陳光誠氏が、厳しい監視の目をくぐって北京の米大使館に逃げ込んだ。

 ちょうど、米中戦略対話の目前。どうなることかと固唾をのんで見守っていたが、すみやかに米中が協議し、陳氏が家族ともども“米国留学する”ことで合意した。ひょっとすると、この原稿が掲載されるころには、無事出国しているかもしれない。そうあってほしいと願っている。

 陳氏一家へのそれまでの激しい暴力、迫害を思えば、中国側は意外にあっさり譲歩したように見える。やはり秋の党大会を目前に、党中央の権力暗闘が激しいなか、中国としても妥協せざるを得なかったのだろうか。そんなことを想像させるほどのスピード解決だった。先月に亡くなった反体制物理学者の方励之博士が1989年の天安門事件直後に米大使館に逃げ込んだときは、解決までに1年の時間を要したことを思えば、中国も変わったということだろうか。

 この事件については、ネット上にいくつか「内幕」と呼ばれる情報が飛び交っていた。もちろん、私ごときには裏のとれない「共産党中央ハイレベル関係者によると」と言われる話だ。しかし、ここは「チャイナ・ゴシップ」と銘打ったコラムなのだから、いかにもゴシップらしい話をとりあげてみよう。

強制堕胎などの実態を明らかにし報復受ける

 陳光誠事件、4.27事件と呼ばれる事件の概要をもう一度整理しよう。氏の名は、国内外の人権問題に取り組んでいる人たちの間では非常に有名だ。

 山東省臨沂市に生まれた陳氏は幼少のころ病気で失明しながらも青島盲学校、南京中医薬大学に進学した秀才。独学で法律を学び、2000年から障害者の人権問題や農民の権利保護相談などに取り組み始めた。

 彼の運命を狂わせるのは2004年夏、地元の臨沂市当局が中国の人口抑制政策「一人っ子政策(計画出産)」の徹底を決定し、すさまじいまでの強制堕胎、強制避妊手術が実行された「臨沂市強制計画出産事件」に始まる。陳夫妻は、この事件を2005年春から調査し、調査結果をメディアに公開、香港の自由アジア放送などが取り上げて大きな反響を呼んだ。この話は拙著『中国の女』(文芸春秋刊)でも紹介しているので、詳しくはそれを参照してほしい。

 臨沂市当局は、この報復として夫妻の自宅監視を開始。さらに2006年には陳氏を聚衆擾乱交通容疑(大衆を集め交通を妨げた容疑)で逮捕し、4年3カ月という異例に重い判決が言いわたされた。2010年9月9日に刑期を終えて出所した後も、自宅で軟禁状態におかれ、監視員らから激しい暴行・虐待・迫害をうける日々だった。2011年2月に、この虐待の実態を訴える陳氏のビデオメッセージを対華援助協会の協力のもと公開したため、陳氏はさらに激しい虐待と監視を受けるはめになった。

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「陳光誠事件の早期解決の裏にあるお家事情」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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