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「一人っ子政策」違反の罰金総額は年間3630億円

元金メダリストが巻き起こした第二子出産騒動の顛末

2012年5月11日(金)

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 今では映画俳優として活躍する“田亮(でんりょう)”は、かつて“跳水王子(飛び込み王子)”と呼ばれた国民的アイドルだった。飛び込み競技の選手として1996年のアトランタオリンピックに17歳で出場した田亮は、2000年のシドニーオリンピックでは「10メートル高飛び込み」で金メダル、「10メートル・シンクロナイズド高飛び込み」では“胡佳”とペアを組んで銀メダルを獲得、その親しみやすい笑顔と垢ぬけた端正な容貌から“跳水王子”と呼ばれた。2004年のアテネオリンピックでは、10メートル高飛び込みは銅メダルに終わったが、田亮は10メートル・シンクロナイズド高飛び込みでは“楊景輝”とのペアで金メダルを獲得している。

香港で第二子出産が非難の的に

 重慶市で生まれて7歳で飛び込み競技を始めた田亮が、その後の約20年間の選手生活で獲得した金メダルの数は70個にも及んだ。それほどの赫々たる成績を残した田亮であったが、2007年3月に惜しまれつつ競技生活から引退した。2005年に現役選手として“陝西省体育局游泳(=水泳)運動管理中心”の副主任に就任していた田亮は、引退後も同副主任の地位を維持したが、それには飽き足らなかったのか俳優に転身し、映画やテレビドラマで主演して人気を博し、今日に至っている。なお、俳優転身後も、陝西省体育局は田亮の“游永運動管理中心副主任”の地位を保留していた。一方、個人生活では、田亮は2007年11月に歌手の“葉一茜”と結婚し、2008年5月には女の子を授かった。

 こうして公私ともに順風満帆の日々を送っていた田亮に突如暗雲が立ち込め始めたのである。それは2012年の年初に妻の“葉一茜”が香港で男の子を出産したことが発端だった。これは田亮夫婦にとって2人目の子供が生まれたことを意味する。最初の女の子に続いて二番目は男の子で“一女一男(一姫二太郎)”であるから、依然として「男子出産願望」が強い中国ではめでたい限りということになる。しかし、中国では2人目の子供の出生が問題なのである。

 筆者には既に成人している2人の子供、長男と長女がいる。中国で子供は何人いるのかと聞かれて、“一男一女”と答えると、誰もが右手の親指を立てて“好,両個孩子好,一男一女更好(いいな、子供2人はいいし、一男一女はもっといい)”とたたえてくれる。そして、“我家只有1個孩子,你們日本有没有生孩子限制(我が家は子供1人だが、あんたたち日本では子供の出産制限はないのか)”と聞いてくる。そこで、“没有(ないよ)”と答えると、実に羨ましそうな顔で“還是日本好噢(やっぱり日本はいいな)”と小声で呟いて次の話題に移るのが常である。

 その“生孩子限制(子供の出産制限)”とは、通称“独生子女政策(一人っ子政策)”と呼ばれる計画出産政策を意味する。これは、1980年9月に開催された第5期全国人民代表大会第3回会議で決議された「20世紀末に中国の人口を12億人以内に抑制する奮闘目標」を根拠に、「夫婦1組に子供は1人」が提唱されたことに始まる。1980年末から各地でばらばらに始められた規制が数年後には全国的なものとなり、30年以上を経た今日も継続されている政策である。近年になって厳格な一人っ子政策の弊害が顕著となり、夫婦の双方が一人っ子である場合には2人目の子供の出産が許されるなど、条件の緩和が一級行政区(省・自治区・直轄市)ごとに打ち出されている。

コメント6件コメント/レビュー

面白い。しかし、農村部では6人まで出産が認められていると聞いたことがある。(過去の話かな)(2012/05/12)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「「一人っ子政策」違反の罰金総額は年間3630億円」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

面白い。しかし、農村部では6人まで出産が認められていると聞いたことがある。(過去の話かな)(2012/05/12)

一人っ子政策は漢族にのみ適用され、他の少数民族には適用されないと聞いたことがありますが、実質的に殆ど漢族と同化してしまっている満州族には適用されないのですか?また、一人っ子政策を逃れるために、少数民族の戸籍を売買するなどと言う「犯罪行為?」も、彼の国ならありそうに感じますが、そのあたりの状況についても知りたいところです。(2012/05/11)

中国では一人っ子政策は既に御存知とは思いますが、それ以外に社会扶養費を支払わされる例としてシングルマザーがいます。中国では未婚出産は認められておらず、出産した場合は同様に社会扶養費が課されます。それと、シングルマザーの子は社会でも認められておらず、白い目で見られるのが実態です。 それと、現実には各社区では適齢期の女性に対して妊娠検査が義務付けられていまして、三ヶ月に一回、超音波で妊娠の有無を検査し、手帳に記録しています。検査を逃れると罰金が課されます。農村部では密告もあり、妊娠がばれると強制堕胎される例も。農村部では社会扶養費も安価ですが、ばれないようにおなかが大きくなると、自宅から疎開します。(2012/05/11)

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