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マラリアで命を失う子どもたちを1人でも多く救いたい

年間85万人以上が死に追いやられる感染症

2012年5月15日(火)

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 「恵みの雨」が子どもの命を奪う――。その原因の1つとして、以前紹介したのがマラリア。

 これは古くて新しい感染症である。約5000年前のエジプトのミイラも、当時のこの病の流行を物語る。かのクレオパトラが病に伏し、ツタンカーメン王が19歳の若さでこの世を去った。この感染症が原因といわれる。

 医学が発達した今でも、世界で毎年2億人以上が感染し、85万人以上が死に追いやられている。約30秒に1人の命が奪われる速さ。その多くが子どもである。

1959年まで日本に「土着」していた

熱帯熱マラリアを媒介するアフリカのハマダラカ(写真提供:長崎大学熱帯医学研究所)

 現在、世界のマラリア死亡の8割以上はアフリカで起こっている。が、熱帯地方に限られた病気かというとそうでもない。かつては欧米諸国、北はフィンランドやカナダでも流行していた。

 北朝鮮では2009年に年間2万人以下となるも、2001年には10万人以上のマラリア患者が発生。その影響からか、韓国でも毎年1000人以上、ソウル市内でも100人以上が発症している。「ソウルでマラリア?」と驚く人もいるだろうが、韓国では深刻な問題となっており、流行する季節には、ソウル市内に「マラリア注意報」が出ることもある。

 日本にとっては対岸の火事と思うかもしれないが、実は、マラリアは日本でもかつて流行していた。古来、この病は「おこり(瘧)」「わらわやみ(童病)」と呼ばれ、「源氏物語」の光源氏も患い、平清盛はこの病で亡くなったといわれる。

 横道にそれるが、日本では古来、このような重い病気は「もののけ(物の怪)」によってもたらされると考えられ、「童病」に罹った光源氏は加持祈祷のため北山の寺を訪ねる。この際、通りかかった家にいた美少女が若紫(後の葵の上)。恋焦がれる藤壺の面影を持っていたためか、この美少女に一目惚れする。早速、源氏は結婚を申し込むが、その子がまだ10歳と若いため、祖母である尼から断られる。「童病」に罹った源氏が、童の娘に夢中になり恋の病に陥った。皮肉なことだ。

 さて、近代に戻って統計をみると、マラリアはつい最近まで日本に「土着」していたことがわかる。1935年頃まで、年間数万人の患者が日本でも報告されていたとは驚きである。特に、琵琶湖を中心として流行地があり、愛知、滋賀、福井、富山、石川は「マラリア五県」と呼ばれるほど患者が多かった。

 戦後の住居改善、環境整備、医療の進歩に伴い、1959年の1例を最後に日本の「土着マラリア」は制圧された。一方、現在も、海外渡航により、マラリア流行国から日本国内に持ち込まれる「輸入マラリア」は年間100例以上、うち1割近くが死亡していると考えられている。ほとんどの医師がマラリアを診たことがないため、診断・治療が遅れることもあるのだ。

 私もマラリアに罹ったことがある。はっきり言ってきつかった。40度近くの激しい高熱と悪寒、震えに加えて、耐え難い頭痛、筋肉痛と関節痛が襲った。

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「マラリアで命を失う子どもたちを1人でも多く救いたい」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士