• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中国をめぐる2つのスパイ事件

防諜法が必要な時代になった

2012年6月6日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 読売新聞の大スクープだが、日本の中国大使館の李春光一等書記官が、「スパイ」だったらしい。らしい、と一応伝聞形にしているのは、まだ疑惑の段階だからだ。日本が日本駐在の現役外交官のスパイ容疑を暴露したのは初めてのこと。これは日中関係にどのような影響を与えるだろうか、ひょっとして、中国側が報復として日本側の誰かを拘束したり、嫌がらせをしたりしてくるか、と中国の反応を注視していたが、意外にも低調である。それもそのはず、中国国内では目下、日本のスパイ疑惑事件にかかずらわっているどころではないのだ。

 中国で今、1985年以来の米中間最大の事件とよばれるスパイ事件が暴露され、しかも、政局にも影響しかねない勢いで波紋がひろがっている。

中国側の反応はほんとどなし

 日本の書記官スパイ容疑事件というのは、スパイ行為そのものの確たる証拠は、少なくとも報道ベースでは挙がっていないらしい。大使館員が駐在国の政府要人と面談して人脈を広げ、情報収集し、自国利益に誘導するのは、むしろ外交官の本業の一つで、どこの国のどの外交官でもやっていることだ。

 報道によれば、不正に外国人登録証を入手して開いた銀行口座に、不正な収入が振り込まれていた。これは外交官の商業活動を禁止するウィーン条約に抵触し、国内法的には外国人登録法違反などにひっかかるので警視庁から出頭要請があったが、書記官がそれに応じず帰国してしまった、という話である。

 しかし、それは汚職官僚の不正蓄財の類いであって、それをスパイ行為と関係づけるなら、その金がどのような工作活動に流用されている証拠を上げなくてはならない。続報で書記官が農林水産省の米の対中輸出などに関する「機密性3」や「機密性2」の文書を入手していた、というが、はっきり言って新聞記者もその「最高機密文書」を第三者経由で入手できて新聞で大々的に報道しているのを見ると、書記官のスパイ行為よりは、農水省の機密がダダ漏れであったことの方が問題の本質のように思える。

 唯一、李春光氏がスパイであると呼ぶ根拠となるのが、人民解放軍総参謀部第二部出身らしいという点である。

 人民解放軍総参謀部第二部というのは、第三部とならんで軍のインテリジェンス部門である。主な任務は各国の軍事関連情報、たとえば装備、編制、作戦意図を探り、防諜工作にも従事する。外国の駐在武官は主に第二部から派遣され、第三部は技術偵察や盗聴、暗号解読、無線傍受などを担当する。彼らの活動はすべて隠密裏に行われ、その身分も隠されることが多い。こういう部門にいったん所属すれば、その後職が変わったとしても、一生、任務からはずれることはなく、死して屍拾うものなし、ではないが、任務途中に抹殺されたりしても、当局は一切関知しないよ、フェルプス君、という世界らしい。もっともこれは冷戦時代の一番、情報戦が過酷な時代の話であり、今はそれほどでもないかもしれない。

コメント8

「中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス」のバックナンバー

一覧

「中国をめぐる2つのスパイ事件」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授