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目前に迫ったギリシャ再選挙~ユーロの運命を左右するか?

「防火壁」の設置で表面化する「ギリシャ脱落もやむを得ず?」の本音

2012年6月12日(火)

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 6月というのに、私の住むヨーロッパでは、多くの地域で天候が不順で肌寒い日が続いている。この空模様と同じように、市民の頭上には重苦しい空気が漂っている。ユーロ圏に属する国が破綻し、通貨同盟から初めて離脱するというシナリオの現実性が、日一日と高まっているからだ。

 6月17日にギリシャで実施される再選挙の結果は、ユーロ圏だけでなく欧州連合(EU)を激しく揺さぶるかもしれない。

緊縮策を拒否したギリシャの有権者

 ギリシャは、矛盾に満ちた国だ。同国で最近行われた世論調査によると、回答者の約80%がギリシャのユーロ圏残留を望んでいる。しかし多くの有権者は、5月6日の国民議会選挙で連立与党――新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動 (PASOK)――を大敗させ、急進左派連合(Syriza)などの過激勢力を躍進させた。連立与党は、EUと国際通貨基金(IMF)が要求している緊縮策を支持してきた。 このため選挙において、国民からしっぺ返しを食った。国民は緊縮策をきっぱりと拒否したのだ。

 PASOKの得票率は前回の選挙では43.9%だったが、今回は13.2%に急落。NDの得票率も33.5%から18.9%に下がった。両党の議席数を合わせても149議席で、過半数に満たない。ND、PASOKだけでなくSyrizaも含めたどの政党も連立政権を樹立できなかったために、今月17日の再選挙が必要になった。今回の選挙で、ギリシャの二大政党制は事実上終焉したのだ。

 特にPASOKが得票率を30.7ポイントも減らしたことは、象徴的だ。同党は、2009年にギリシャの債務危機が深刻化して以来、一貫してEUの緊縮政策を支持してきたからである。NDは当初EUの緊縮策に反対していたが、途中からEU支持に態度を変えた。このため得票率の減少幅は14.6ポイントで、PASOKの減少幅を下回っている。

 また国粋主義的な傾向の小政党であるLAOSは、去年11月から一時的に連立政権に参加していたが、今年2月には緊縮策に反対して政権を離脱した。だがこの政党も、3カ月間とはいえ連立与党の緊縮策を支持したために、得票率が前回の選挙に比べて半減し、議席を失った。これらのデータから、有権者がEUの緊縮策を支持した政党を厳しく罰したことが浮かび上がってくる。

5月6日のギリシャ国民議会選挙の結果

  緊縮策への姿勢 2009年 2012年
ND(新民主主義党) 賛成 33.50% 18.90%
Syriza(左派連合) 反対 4.60% 16.80%
PASOK
(全ギリシャ社会主義運動)
賛成 43.90% 13.20%
Anel(独立ギリシャ人) 反対 0% 10.60%
KKE(共産党) 反対 7.50% 8.50%
Chrysi Avgi
(黄金の夜明け=ネオナチ政党)
反対 0.30% 7.00%
Dimar(民主的左派) 反対 0% 6.10%
Laos(国粋主義的保守政党) 一時的に連立政権に加わったが、現在は反対 5.60% 2.90%

(資料・ギリシャ国民議会)

コメント2件コメント/レビュー

現時点では、ギリシャの選挙の結果によってはユーロ離脱もありうるが、コストの観点からすると、EUにとってギリシャの離脱の方がはるかに高くつくと言うのが、マーケットのコンセンサスではないでしょうか。大量のギリシャ国債を保有しているのはギリシャ国内の銀行よりも、ドイツやフランス、スペイン、イタリアの銀行なので、すでにある程度の引き当てがされているとか、CDSで1部ヘッジしてあるとはいえ、ダメージは広範囲に及ぶと予想されます。ギリシャの銀行がつぶれるならまだしも(こんな表現しかできなくてすみません)ドイツやフランスの銀行が破綻することになれば、ユーロ圏は大混乱に陥ります。これはギリシャ国内の取り付け騒ぎやギリシャの富裕層がユーロを国外に持ち出す量に比べて、はるかにインパクトが大きいはずです。(2012/06/13)

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「目前に迫ったギリシャ再選挙~ユーロの運命を左右するか?」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

現時点では、ギリシャの選挙の結果によってはユーロ離脱もありうるが、コストの観点からすると、EUにとってギリシャの離脱の方がはるかに高くつくと言うのが、マーケットのコンセンサスではないでしょうか。大量のギリシャ国債を保有しているのはギリシャ国内の銀行よりも、ドイツやフランス、スペイン、イタリアの銀行なので、すでにある程度の引き当てがされているとか、CDSで1部ヘッジしてあるとはいえ、ダメージは広範囲に及ぶと予想されます。ギリシャの銀行がつぶれるならまだしも(こんな表現しかできなくてすみません)ドイツやフランスの銀行が破綻することになれば、ユーロ圏は大混乱に陥ります。これはギリシャ国内の取り付け騒ぎやギリシャの富裕層がユーロを国外に持ち出す量に比べて、はるかにインパクトが大きいはずです。(2012/06/13)

ギリシャのユーロ圏からの離脱はさっさとやった方が良い。これは大会社の不採算部門の整理と共通する事が多い。『伝統的な部門だから』と改革を怠り、赤字をその他の黒字部門に負わせ続けている。今離脱させれば、損失は一回の計上で済むが、処理を遅らせれば大赤字の部門を持ち続ける事になり、会社そのものの経営が立ち行かなくなる可能性すらある。該当部門が『改革反対、首切り反対!』と言って経営改革に反対している以上、その部門を別会社に分離して破綻させるしか手は無い。『処理出来っこ無い』とタカをくくっているとしたら、彼等は資本主義を知らないとしか言い様が無い。私に言わせれば、何故まともな経営すら出来ていなかったギリシャを通貨さえ共通にする仲間に加えたのか理解に苦しむ。ギリシャの事より、足下の日本の財政再建の行方の方が気掛りだ。 消費税の10%が可決されたら、次は国会議員の大幅削減に手をつけて欲しいものだ。衆議院の80議席削減では改革にならない。最低でも半減、出来れば100名程度まで大幅削減し、国会は少数精鋭で運営して欲しいものだ。参議院は議席削減と同時に機能の改革が必要。良い改革案が出ないなら廃院が妥当。 参議院での逆転減少が政治の不安定の最大の原因になっている事は間違いない。 国の発展に寄与出来ない議員の組織は今の日本には不要だ。(2012/06/12)

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