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注目を集め始めた中国の土壌汚染問題

汚染された工場跡地に続々と建設される住宅群

2012年6月15日(金)

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土壌や地下水が汚染された“毒地”

 「環境汚染などの理由で利用されなくなった産業跡地」を英語で“brownfield site”と呼ぶ。日本語でこれを直訳すると「褐色地の場所」となるが、中国語はそのまま直訳して“棕地(褐色の土地)”と言う。中国語ではこの“棕地”を“毒地”とも言う。“毒地”とは非常に直截(ちょくせつ)な表現だが、有毒有害な物質を使用したり生産していた工場が移転した後に残された、土壌や地下水が汚染されて、人体や生態への悪影響が懸念される土地を示す端的な言葉のように思われる。

 日本では2002年5月29日に「土壌汚染対策法」が成立し、翌2003年の2月15日に施行された。その後、同法は2009年4月に改正法が公布され、2010年4月1日に施行となって現在に至っている。ところが、中国では1993年制定の「地下水品質基準」と95年制定の「土壌環境品質基準」が土壌関連の環境基準として存在するのみで、いまだに土壌汚染防止に関する法律は存在せず、基本的に整備されている環境保護関連法規に空白をつくっている。中国で土壌汚染防止に関する法律が起草されつつあるとのニュースは数年前から度々報じられているが、一向に進展がない。どうして当該法の起草が進まないのか、その理由は定かではないが、中国の土壌汚染の現実は一刻の猶予もならない状況にある。

 週刊紙「南方週末」のニュースサイト“南方週末(infzm.com)”は2012年3月19日付で“毒地”関連の特集記事を掲載したし、雑誌「財経」の第322号(6月4日発行)も“毒地”を特集した。筆者の見るところでは後者の記事は前者の記事に触発されたものと思えるが、それはともかく、「財経」の記事は中国社会に大きな反響を呼び、中国国内のメディアは一斉に“毒地”関連の記事を掲載して、“毒地”の危険性に警鐘を鳴らすとともに土壌汚染防止の法規制の必要性を提起した。

 「財経」の特集記事は次のような文章で始まっている。「ゴミ捨て場のそばで生活したいと思う人は誰もいない。でも、貴方が今住んでいるところはゴミよりももっと危険な“毒地”の上であるかもしれない。なぜなら、貴方は自分が住んでいる地域の歴史的な経緯を何も知らないのだから」

 中国ではマンションやアパートといった集合住宅に住むのが一般的であり、デベロッパーが集合住宅の建設に着手した時点で販売公告を出して購入者を募るのが通例である。住宅購入希望者はその販売公告を見てデベロッパーや不動産仲介業者に出向いて詳細を検討することになるが、当該集合住宅の建設予定地がかつて何に使われていたかを気にする人はほとんどいないのが実情である。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「注目を集め始めた中国の土壌汚染問題」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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