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オバマの戦争は冷酷さを増している

2012年6月20日(水)

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 米国の景気が低迷する中、オバマ大統領の経済政策に対する不満からか、最近の世論調査では共和党のミット・ロムニー候補の支持率がオバマ大統領のそれに肉薄し、米大統領選挙はますます熱気を帯びている。

 雇用・経済分野で思うように得点をあげられないオバマ大統領にとって、外交は「得点を稼げる」もしくは「失点が許されない」分野である。しかし、ここで得点を稼ごう、失点を抑えようと焦れば焦るほど、状況は悪化する。その好例がパキスタンとの関係だ。

 オバマ政権は対テロ戦争の「実績」を上げるため、パキスタンに潜むアルカイダなどの武装勢力に対する攻撃を激化。誤爆をしてもオバマは謝らないからパキスタンとの関係は悪化する一方だ。反発するパキスタンにオバマ政権は無人機によるミサイル攻撃を激化させて圧力をかけるが、同国はますます非協力的になり、米軍のアフガン作戦にも深刻な影響が出ている。これ以上の関係悪化は、世界で唯一のイスラム核保有国家を危険なほど不安定にさせてしまう恐れがある。

「われわれの忍耐も限界まで近づいている」

 6月6日、レオン・パネッタ米国防長官は、インドのニューデリーで講演し、「パキスタンにテロリストの安全地帯がある限り、アフガニスタンで平和を達成することは困難だ」と述べて、タリバンやハッカーニ・ネットワークなどの反米武装勢力に「聖域」を与え続けるパキスタンを改めて批判した。

 「われわれは何度も何度もこの点を明確にしてきたし、これからもそうするつもりだ。しかし、われわれの忍耐も限界まで近づいている」。

 「(パキスタンに)安全地帯が存在し、ハッカーニのような連中が、米軍を攻撃するためにそこを使っていることに対する懸念は強まる一方だ。この状況にはもう我慢できない」。

 このような激しい口調はあまり外交の場面では聞かれない。しかも激しいのは口調だけではない。最近の米中央情報局(CIA)のパキスタンへの無人機攻撃はさらに激しさと冷酷さを増している。

 CIAは今年に入ってから本稿執筆中の6月15日までにパキスタン領内ですでに23回の無人機攻撃を行っており、報道されているだけでも50名以上を殺害している。その23回のうち10回は5月22日以降に実施されたものだ。また、6月4日には一度ミサイルで爆撃した後、人々が救助に駆けつけたところにさらに一発ミサイルを撃ち込むという残酷な攻撃を実施している。6月3日にはその前日に無人機攻撃で殺害された「テロリスト」の葬式に人々が集まったところにミサイルを撃ち込んで多数の「テロリストの仲間」を殺害している。

 オバマ政権は、「テロリスト」を救助したり、その葬式に参列するのは「テロリスト」という論法で、「テロリスト」の周辺にいる人々をまとめて抹殺する作戦に切り替えてきたのかもしれない。「もう我慢できない」という言葉の通り、CIAの戦術は冷酷さを増している。

 もちろんタリバン等反米武装勢力側のテロも巧妙さと残忍さを増しているのでここではどちらがより残酷かを論じているわけではないが、「目には目を」「残虐さには残虐さ」で対抗する戦闘のエスカレーションは、ブレーキの利かなくなった暴走列車のごとく、もはや抑制が効かなくなってしまったようだ。

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「オバマの戦争は冷酷さを増している」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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